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金沢の空は低い。

『2014年夏から2016年夏に撮られた写真から、当時の二年間の金沢生活を振り返り、想い出を記録に定着させる写真で二言三言。』

金沢の当初に驚かされたこととしては、海の幸のこの上ない旨さや意外と豊富なB級グルメといった食ネタだけではなく、市中には水が豊かであることと、それは日本海でたっぷり水分を含んだ空気が山々に遮られて大量の雨を降らすことにあると。

この盆地ではないが、山に空気が遮られるというこの地形の妙にも驚かされた。
わたしが暮らしていたマンションのベランダで撮った今回の写真。
雲は何層にも及び、一番下の雲は都内では見かけたことがないくらいに低く漂う。

日本海を背にして、背中側から大量の湿った空気が押し寄せ、一部は能登半島に遮られ、正面を進むモノは白山を始めとする中部の山々に遮られる。
遮られた空気は巻き上がって弧を描き地表に向かって渦を巻く。
この間に雲を発生させてこのような段階的な雲の層をなすのが金沢市内では特別なことでも何でも無く、ほぼ日常の光景であることに驚いた。

関東平野で生まれ育ったモノとしては、西高東低の天高い日々が日常でこんなに雲に覆われるのは台風が来たときくらいである。
逆に金沢ではこれが日常であり、すっかり晴れている方がむしろ珍しい。
金沢人に言わせるとこのような格言があるらしい。

『弁当忘れても傘忘れるな!』

それほど雨が日常ということなのであろう。


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