ニコンの激安中古レンズを復活させる(その8)New Nikkor 28mm F3.5
おつかれさまです.今回は広角レンズの28mmである.以前にもNikkor-H Auto 2.8cm/28mm F3.5のオーバーホールを実施したが,今回のはNewがつく後継機種である.レンズ構成は6群6枚で変わらないのだが,最短撮影距離が0.6mから0.3mにまで短くなって使いやすくなっている.外装も黒が基調なモダンなデザインで,きりりとした感じだ.たまたまコンディションの良いものが,オークションで千円以下で落札できた.広角レンズは割高な印象があるが,Ai化される前のNikkor 28mm F3.5は意外に安く出回っていて,お手軽に単焦点レンズを揃えるには,狙い目かもしれない.
現状把握
外観は,特に目立ったキズや汚れは見当たらず,フォーカシングリングのラバーも磨り減った感じがない.絞りリングや絞りの動きも良好である.ただしフォーカシングリングの動きはスカスカで,グリス切れのようだ.光学系は,かなりのカビが見られ,クリーニングが必要である.
フロント側からのアプローチ
まずフォーカシングリングのラバーを外す.すると小さな穴があるので,そこからアセトンを注入してしばらく待ってから,銘板と一体となったベゼルを回して外す.
対物レンズユニットのサイドにセットスクリューが見えるので,これを外します.対物レンズユニットを回して外します.
さらに遮光リングをカニ目レンチを使って外します.
ここにもレンズがあります.
上から見える3つのビスを外すと,フォーカシングリングが外せます.
サイドにあるビス3本を取ると,レンズユニットが取り外せました.
外したレンズユニット
あとは,このレンズユニットを分解していけば,すべてのレンズにアクセスできる.レンズクリーナーを使うと,カビはきれいに取れた.
マウント側からのアプローチ
古いレンズを分解するのにいつも苦労するのが,このレンズマウントを止めているネジがなかなか回らないのだ.今回もこのネジがガンとして回らない.経験上,無理に回すとネジをなめてしまうので今回は慎重に行った.
この5本のビスがなかなか回らなかった.
まずは,ネジが接着剤等で固定されているかもしれないので,ネジの回りにアセトンを注入する.ところが回る気配がない.次に使ったのが,浸透性のある機械油をねじの回りに注入した.これで,5本のネジの1本が外れた.ところが後の4本はダメで,ネジ山を潰しそうである.
ネットを検索すると,接着剤のメーカーから発売されているネジ外し専用ペーストが有効だと知り,ものは試しと思い使ってみることにした.何やら黒いペーストをネジ山に塗って,プラスドライバーを差し込むと,ガリガリという感触がしてネジに食い込む.ドライバーを押し込みつつ恐る恐る回すと,すんなりネジが回った.残りの3本も同様である.これには少し驚いた.
マウントが外れました.マウントを外すと,絞りリングも外せます.
次にこのレバーを忘れずに外します.
銀色のリングと距離目盛りが入ったリングが外せます.するとヘリコイドだけになります.さらに,丸穴から見えるねじを2つ外すと,ヘリコイドが分解できます.
分解したヘリコイド.古いグリスを拭き取って,新しいグリスを塗りました.
あとは,絞りリングをヤスリで削れば,AI化改造が完了です.
まとめ
今回は,レンズもすべて両側から清掃できたし,スカスカだったヘリコイドも適度にヌルヌル感が回復して満足である.レンズマウント以外は,特に分解が難しいとは感じなかった.New Nikkor/Ai Nikkor 時代のレンズは鏡筒がプラスチック化される前のしっかりした作りと,黒を基調としたデザインがとても良い感じだ.
いつものポジションから撮影しました.
Nikon D300, F22, SS1/180, ISO400
このレンズは,Nikkor-H Auto 28mm F3.5に比べて,最短撮影距離が0.3mにまで短くなっているので,被写体にかなり寄れます.
Nikon D300, F4, SS1/180, ISO400
夕方の撮影では,手持ちは厳しいかなあ. 次回は三脚を持っていかなくては.
Nikon D300, F4, SS1/30, ISO2800
このレンズは,最短撮影距離が短く,画角もまあまあ広いので,D300と共に,Web会議にも活躍しています.
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