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fMRIとEEGの歴史と進化: 神経科学における非侵襲的画像技術の役割

1. 序章

fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging、機能的磁気共鳴画像法)とEEG(Electroencephalography、脳波計測)は、神経科学の研究に革命をもたらした非侵襲的画像技術です。これらの技術は、脳の構造と機能の理解を大幅に向上させ、多くの臨床および研究応用に寄与しています。本稿では、これらの技術の歴史的背景と進化、および神経科学におけるその影響について考察します。

2. EEGの歴史

EEG技術は、1924年にハンス・ベルガーが人間の脳波を初めて記録し、公表したことに始まります[1]。ベルガーは、脳の電気的活動が精神活動と密接に関連していることを発見し、その後の神経科学研究に大きな影響を与えました。特に、脳波の異常が観察されるてんかん患者の研究により、EEGは重要な診断ツールとなりました[2]。

3. fMRIの歴史

fMRIは、1990年にベラーとクウォンが酸素化血液依存性(BOLD)信号を用いて脳の活動を視覚化する研究を発表したことにより、その使用が始まりました[3]。この技術は、脳の特定領域が特定の認知タスクに応答して活性化する様子を詳細に捉えることができるため、認知神経科学の分野で広く採用されています。

4. 技術的進化と臨床への応用

EEGとfMRIは、技術の進化と共に臨床および研究領域での応用が広がっています。例えば、EEGはリアルタイムでの脳波モニタリングを可能にし、痙攣の早期発見や睡眠パターンの分析に役立てられています[4]。一方、fMRIはアルツハイマー病の早期診断や精神疾患の研究に有効であることが示されています[5]。

5. 科学研究への影響

EEGとfMRIの進化は、多くの科学的発見を促進しています。たとえば、EEGを使用した研究では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供たちが特定の課題に対して異なる脳波パターンを示すことが明らかになりました[6]。また、fMRIを用いた研究により、恋愛感情が脳の特定部位を活性化させることが確認されています[7]。

6. 結論

EEGとfMRIの歴史とその進化は、神経科学における重要なマイルストーンです。これらの技術は、脳の機能的および構造的な理解を深め、さまざまな脳疾患の診断と治療に貢献しています。

参考文献

[1] Berger, H. (1929). "Über das Elektrenkephalogramm des Menschen." Archiv für Psychiatrie und Nervenkrankheiten.
[2] Jasper, H. H. (1948). "Electroencephalography in Epilepsy." Epilepsia.
[3] Belliveau, J. W., Kennedy, D. N., McKinstry, R. C., Buchbinder, B. R., Weisskoff, R. M., Cohen, M. S., Vevea, J. M., Brady, T. J., & Rosen, B. R. (1991). "Functional mapping of the human visual cortex by magnetic resonance imaging." Science.
[4] Picton, T. W., et al. (2000). "Guidelines for using human event-related potentials to study cognition: Recording standards and publication criteria." Psychophysiology.
[5] Rombouts, S. A., Barkhof, F., Goekoop, R., Stam, C. J., & Scheltens, P. (2005). "Altered resting state networks in mild cognitive impairment and mild Alzheimer's disease: An fMRI study." Human Brain Mapping.
[6] Barry, R. J., Clarke, A. R., Johnstone, S. J. (2003). "A review of electrophysiology in attention-deficit/hyperactivity disorder: I. Qualitative and quantitative electroencephalography." Clinical Neurophysiology.
[7] Aron, A., Fisher, H., Mashek, D. J., Strong, G., Li, H., & Brown, L. L. (2005). "Reward, motivation, and emotion systems associated with early-stage intense romantic love." Journal of Neurophysiology.

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