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NMEアルバムレビュー: BTS ‘Map Of The Soul: 7 (4 stars)

グローバルな韓国のビッグスターは成長し、巨大になったレガシーを顧みている。これは豊富なアイデア、強い信念、無防備な感情に満ちたアルバムで、自分たちの軌跡を誇りに思って当然であるべきであるバンドによって制作された。

オーストラリア人の哲学者Rudolf Steinerに言わせると人生は7年のサイクルで動いている。自分の個性に気付く前は誰かに完全に頼りきり、成長して思春期が来るとホルモンに支配されティーンによくあるドラマ(聞いたことあるよね?)を体験する。感情が成熟して自我と格闘しながらも責任ある大人になると広い視野で世界を見るようになる。そして人生はその後も続いていく!

BTSの最新のアルバム’Map Of The Soul: 7’ が過去7年間を振り返っているのは理にかなっている。、2020年が彼らの7年目のアニバーサリーを迎えていて、メンバー全員も人として成熟しているからだ。2019年の ‘Map Of The Soul: Persona’ (アルバムの中の5曲は今回のアルバムにも入っているが) で彼らは心理学者カールユングをテーマに用いて、本当のあなたは誰なのかということや、欠点などを見つめることへの対話の枠組みを作った

‘Love Yourself’ シリーズでセルフラブを奨励したあと、’7’ は自分を受け入れようとする道をたどっていくBTSの深い瞑想のようなものだ。’Intro: Persona’ で世間へ見せている顔について問いかけ、Sugaの ‘Interlude: Shadow’ では外に見えないように隠している側面について語る。そのエモラップでは成功によりもたらされる不安が語られ、メランコリーなギターが流れる歌詞では「笑ってみろよ、何ためらってるんだ?これが願ってたことじゃないのか?」と自分を叱る。最後の ‘Outro: Ego’ ではJ-hopeがエゴはネガティブだというイメージを明るいアフロポップでひっくり返す。そして光州のチョンホソクが世界で有名になったラップスターという別人格になった旅について話し、「自分を信じるだけだ」と幸せと自信に溢れて締めくくる。

‘7’ についてあまり情報がない時は、ユングのMap of the Soulがshadowに繋がるというセオリーの元、ファンはBTSの4番目のアルバムが痛みや苦悩に満ちたものになると予想していた。暗い部分もあるが (例: ‘Interlude: Shadow’, 恐れに駆り立てられた ‘Black Swan’、Troye Sivanのコラボ作 ‘Louder Than Bombs’) 、このアルバムは強さへのモニュメントでもある。結局はユングも言っているように自分のshadowを知るという事が本当の自分を知る道なのだ。

‘Black Swan’は音楽への情熱を失うことへの恐れに対する抵抗、’Louder Than Bombs’ は世界各地で耳にする他人の痛みの話が及ぼす影響 (‘あなたの静かな悲しみが私を揺さぶる/私の静かな海で波が高くなる’) について語るが、鳴り響くエレクトロポップが激しくなるにつれてバンドの決意も固まっていき、最後のコーラスで意思表示をする (‘爆弾よりも大きな声で歌うよ / 君と僕のために約束する / 波に打たれても / ずっと君のために歌うよ’)。

‘7’ というアイデアの背景を考えると、このアルバムがパーソナルなものであることは全く驚かない。各メンバーが自分たちの人生を反映できるソロの機会もある。ジミンの ‘Filter’ は流れるようなダンススキルを備えた彼のためにあるようなラテンポップのリズムだ。彼はどんな役割でも輝くことができる器用な人物で「君のジニーになってあげる / アラジンなんてどう?」と遊び心たっぷりに呼びかける。「君が望む何にでもなってあげる」と。

R&Bの’My Time’ でジョングクは世界一のバンドメンバーの一員であることの魅力的な人生を認めているものの、若いころに犠牲にした普通の経験ということへの疑問を語る (BTSの一番若いメンバーで彼はデビュー時は15歳だった) 。「誰よりも早く大人になったような気がする」で始まり後に「世界中でrock on (最高) だけど、自分でlotto (宝くじ)を作ったんだ / でも早すぎたのかな、逃してしまったものの痕跡が」。

うねりのある弦楽器に乗せ、Vは ’Inner Child’ で以前の彼について語り、辛いこともいつかは落ち着くんだと若いころの自分の記憶に言い聞かせている。「君の目を照らす星になったよ / You’re my boy」と優しく歌う。「We gon’ change」、ここは ’7’ の中でも感情がピークに達する 4曲 (時々安っぽいポップの領域にも入っていってしまうが) の真ん中にあり、それはジンからARMYへの歌 ’Moon’ で終わる。

BTSのメンバーの中でも常に表面上は自信があってハッピーだとして知られるが、過去は自分の悩みを隠しメンバーを励ますために使っていたpersonaでしかなかったと語り、この一節でそれをまたほのめかす; 「みんなが美しいというが、僕の海は真っ黒だ」そして後に「君が見てるんじゃないかと突然考えてしまう / 君が僕の傷を見つけるんじゃないかと心配になる」。さらに「僕の理由になった」ファンたちに彼のサポートを伝える。

’00:00 (Zero O'Clock)’ は「0時になり新しい日が始まりすべてがリセットされること」についてで、人生の面倒なことに引っ張られないようにする優しい抒情詩だ。「そして、あなたは幸せになる」というコーラスがマントラのように働きかけ繰り返されるたびに力づけられる。一方、ジミンとVは喜びに満ちた 'Friends' でタグを組み稀有で特別な友情の物語をシェアする。「ハロー、エイリアン / お互いのミステリーだね」とジミンが歌う。

しかし、'7' での感情は美しいものだけではない。RM, J-Hope, Sugaが怒りにかられて世界に突き進んでいく銃声いっぱいの燃えるようなラップトラックの ’UGH!' もある。「時々怒りは誰かの人生になるのさ」。Sugaは匿名のネット中傷の犠牲者になることで負う傷を賢く伝える。そして彼とRMがタグを組み少しリラックスした 'Respect' にて今日の社会で過度に使用されていると考えられる単語の本当の意味を探求する。

’7' はBTSのリリースの中でも最も間隔が開いた(10か月間)が、豊富なアイデア、強い信念、無防備な感情に満ちたアルバムは待った甲斐があった。先月のグラミーのレッドカーペットで J-hopeはE!に「アルバムを聴いて、パフォーマンスを見てもらえれば、BTSを好きでいることが最高の決断だったと思うはずですよ」と伝えた。結局彼は間違ってなかった。グローバルな韓国のビッグスターの新たな7年が来る。



*出典元:BTS – ‘Map Of The Soul: 7’: Korea’s global heavyweights come of age and survey their already enormous legacy by Rhian Daly

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