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巨大化していくBTSのファンダムはティーンだけじゃない。お母さん達もなのだ。(Part1)

35歳以上のBTSのファンたちはバンドのストーリーの一部になろうとしている。

去年の夏、とても暑い日に57歳のNan Paturzoは南カリフォルニアの自宅の庭でパーティを開き、26-57歳の女性が参加した。プールで泳ぎ、ゲームをして、ダンスをして、手作りのTシャツを作った。一日中共に過ごし、近況をキャッチアップをしたり昔話をして絆を深めた。

その日に撮られた写真には1つの大きなグループが太陽の下で笑って映っている。さっと写真を見ただけでは見逃してしまう事があるかもしれない。それは「指ハート」や筆記体で “Boy With Luv” と書かれたTシャツだ。それは特別なパーティーだったのだ。韓国の7人グループBTSがいなければ出会わなかった成人女性がオンラインでの出会いをアミ会として行ったからだ。

PaturzoはBTSのMVを通して15歳の娘と絆を深めた結果、ファンとして芽生えた気持ちを抑えきれず2018年にFacebookでBangtan Moms & Noonasというグループを作った。「Steve Aokiの ’Mic Drop’ のリミックスが出たころには、もう取りつかれてました。1人でMVを見るようになってたし。」と彼女は話す。「ちょっと恥ずかしかったけど、娘を朝学校に送って授業を受けてる彼女に「これ見た?ねぇ、見た?」ってテキストを送ってました。」。その熱狂を娘に「ヤバイ」と言われたのを機にPaturzoは同年代の他のファンがいるのかどうか考えるようになった。「年代も上だし、彼らとデートしようなんて考えてるわけじゃないです。」と彼女はオタ活を語る。「みんなに家に来てもらってクッキーを焼いて、最近どうしてた?って話をしています」。

Bangtan Moms & Noonasは現在20代から60代までの500人以上のメンバーがいる。”Noona” というのは韓国語で “年上のお姉さん” という意味だが、家族の絆を単に反映しているのではない。1992年から1997年の間に生まれたBTSのメンバーよりも年上のファンの女性を指す言葉だ。FacebookのグループではメンバーはBTSに関しての面白いビデオや、ミーム、写真をシェアしている。ダンススキルに執着し、翻訳について語り(グループの一部は韓国語を勉強するグループもある)、次のBTSのコンサートでのアミ会の計画をする。

Twitterではグルチャがたくさんありハッシュタグは共通だ。45歳のファンWinnie LauはUS、カナダ、 シンガポール、インドネシアから30人が集まるグルチャ#NoonaSquadLovesBTSのメンバーだ。ストリーミングパーティーをしたり、BTSの映画やコンサートに行くイベントを計画する。Lauは2019年の1月にARMYになるまでSNSを全く使っていなかった。

年配のBTSのファンコミュ二ティーはTwitter内でも緩く存在している。1人のARMYがツイートで年齢とBTSへの愛を語ると、連鎖反応で同じような年代のARMYが返事をすることが普通にある。2019年の12月、Sherri Brannon (@DearMoon246) が58歳の誕生日に「毎年12月21日に私の影は濃くなっていくけど、年とともに光を入れていこうと頑張ってる。BTSは私の光となって、私は輝き続けている。90歳になってもARMYでいると思う!」とツイートしたところ、30歳以上のファンが続々と好意的なコメントを寄せた。「みんな同年代のファンに出会うことを本当に有難く思っていますよ。」とBrannonは話す。

BTSを知っていますか?

BTSのファンがツイッター内で完全に支配権を見せて日々ハッシュタグのトレンドを作っている。それとともにBTSのファンダムが大きくなり、年上のARMYが増えていくことも理解できる。若いファンは年配のファンが最初にバンタンにハマってしまったときの共通性に気付くだろう。「(BTSのファンダムの中では)共通のジョークがあります」と49歳のAngela Hallは話す。彼女はオクラホマ州に住む修士課の学生で、BrannonのツイートにBTSの老人ホームについてのジョークでリプをした。「「彼らの名前が知りたいの」からすべては始まるよね、とみんな言ってます。」。

HallはYouTubeのアルゴリズムで“Dope”を見せられて初めてBTSを知った。以前にもう少し上の年代のBIGBANGやSHINeeのファンだったので、彼女にとってBTSが最初のK-popではなかったが、2015年の後半から2016年の初頭から完全なるBTSファンになった。ファンダムが布教にあたる様子は個別の美容部員が口コミで布教活動をするMary Kayのコスメを彷彿させるとHallは話す。「BTSはとても謙虚で真面目だ」と彼女は説明し「ジミンの目を見たら沼入り確実」ど冗談交じりに話す。

Hallの場合は違うが、年上のファンはBTSのことをティーンや若い世代の子供たちを通して知ることが多い。Paturzoの場合はそうだったし、Brannonは26歳の娘の計画通り2年前にBTSを知った。Brannonはバージニアに住む娘に会いにフロリダから旅行をした。「私を座らせて‘Mic Drop’を見せたの」とBrannonは語る。「音が他とは全然違って新鮮でした。そしてコレオを見て顎が外れました。」と。そしてフロリダの家に帰るころにはもっと知りたいと思うようになっていた。「彼らの名前を知るためにググったの。そしたらもちろんRun! BTSや面白いコンテンツを見つけてしまって。知れば知るほど7人の沼に入っていくって決まってますよ。」。

おそらくそのときに予測できる副作用は親世代のファンダムは子供たちの世代よりもアツいということだ。結局、ティーンが音楽を聴く楽しみのひとつは親と正反対のものを聴くことだったりする。Paturzoはかつてベッドに横たわりBTSのMVを見ていた娘はもうARMYではないと言う。最近彼女は今春Rose Bowlで行われるMap of the Soulのチケットを買ったが、彼女の娘は同行しない。彼女は同じ週に行われるAPテストの勉強を優先したいからだ。「 ‘オッケー。偉いじゃん、頑張って。でもママはその週末はずっといないから’ って彼女に伝えましたよ。」とPaturzoは話す。

一度沼入りしたら、もう出られない

多くの女性がBTSは過去に好きだった音楽と良くも悪くも繋がっていると感じている。59歳のAlicia Wrayは誕生日に35年後も白髪で杖を持ってBTSを見に行くというBrannonの冗談めかしたツイートに対して返事をしたファンの1人だ。WrayはBTSのダンスポップな ‘So What’, ’Am I Wrong’ や ’I’m Fine’ のような曲に最初は惹かれた。彼女は70年代や80年代にB52やTalking HeadsのようなダンスミュージックやRamonesやPatti Smithのようなパンクも聴いていた。

Wrayは当時レコード屋でチャートの上位に躍り出ていた元気でノリのよいDiana Rossのようなシングルを探していたことを思い出している。レジにいた全身黒づくめの年配の男性に聞いてみたところ、「そんな」音楽はそこには置いてないと鼻で笑われた。「すごくショックだったし、怒りもこみ上げました。」とWrayは話す。「そういう音楽が好きだという理由で全否定をされたようで惨めでした。’ただ流行っているポップを聴きかじるティーンと同じじゃないか。’ という偏った考えだったと思います」。

そういった偏った考えはファン歴の浅いBTSのファンにもおそらく馴染みがあるだろう。特に欧米の国々で音楽業界の人たちがK-popというジャンルを大雑把に扱っていたり、見限ってきたのを見てきた人たちにとっては。それは年齢やジェンダーによる偏った考えだ。BTSには女性のファンしかいないという見方は、本当はそうではないのに (ハロー、ジョンシナ氏)、グループの成功への見方や議論のされ方にも影響を与えている。

「女性は多くのことを認められていないと思う」とThe New York TimesのデピュティーエディターであるDodai Stewartは話す。35歳よりは上だが「年齢不詳の」Stewartは2016年にNew Yorkで開催されたKCONで “Fire” を見てBTSのファンになった。「女性が好きになる多くのことが教養が低いとみなされる。数10億の規模を生み出す業界でさえ、女性が活躍しているという理由だけで真剣に取られないこともよくある。よく考えてみるとアメフトなど男性主導のアメリカ人の娯楽はすごく馬鹿げていますよね。ただのゲームじゃないですか。でも何10億も生み出す業界であり、それが毎晩のニュースコーナーのひとつとして設けられている。女性が興味があるようなことは同様の扱いや敬意を得られていませんよね。」。

あらゆる年代の女性の音楽ファンがどう扱われているのか、彼女達が真剣に取られていないということは簡単に分かる。 歴史は繰り返され、人々はいつだって批判する準備をしている。WrayはBTSの音楽に対する愛をファンではない同年代の友人に説明しようとした「どんよりした目になってしまうんです」と彼女は話す。「どれだけ価値があるのかということを長い間聞いていられないみたいです。」。


*出典元:https://www.instyle.com/celebrity/bts-fans-over-35-map-of-soul by P. Claire Dodson

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