見出し画像

Episode 44: Map of the Soul – Persona (pt.3)

Laura: Make It Rightはテンポのいい曲ですよね。大好きな曲です。いくつか歌詞を選んでみました「But all of this is about reaching you (すべては君に届くために) 」「 I am singing to find you (君を見つけるために歌う) 」「 All of this to go back to you (すべては君の元に戻れるように) 」

Dr. Stein: Youとは誰なのでしょう?

Laura: 同じことを考えていました。この場合、Youは自分自身のことを言うのではないでしょうか?

Dr. Stein: タイトルがMap of the Soulですからね。Youというのはいろいろな解釈ができると思いますが、「君の元に戻る、君を見つけるために」というのは葛藤しているのだと思われます。自己の内に向かって旅をしていますね。ここで一旦、内と外について話してみましょう。魂というのは内にあるものなのでしょうか?外にあるのでしょうか?それとも両方にあるのでしょうか?人生の経験上、若いころは自分の魂を他人から見つけます。自己投影とも言いますが、自己投影という相手に対して失礼な言葉かもしれないので、相手と一緒にいるときは自分の魂と一緒なのだ、と言ったほうがいいかもしれません。魂と一緒にいるので、相手に頼ってしまい、相手と一緒に過ごす時間がとても重要になり、相手=自分の魂だと思ってしまうのです。この場合、内も外もごちゃまぜになった状態になります。baby to youという歌詞は誰かに語り掛けているかもしれないし、自分の魂に語り掛けているかもしれません。answer to my journey (旅の答え) 、sing to find you (君を見つけるために歌う) 、これらの歌詞も魂を外に向かって探しているように見えますが、同時に内なる自己への探求とも受け取れます。心の旅というテーマの素晴らしい歌ですね。

(Mikorkosomosの) 歌詞の中で「子供の頃に見た夜の空」という歌詞が出てきます。5年前に亡くなられましたが、アメリカ人の詩人でMark Strandという方がいます。彼の詩に「原っぱで夜に寝転がりながら星を見上げたら、突然名前を呼ばれた、呼ばれたことのない言い方で名前を呼ばれた」というものがあります。「空を見上げながら名前を呼ばれた瞬間に何かの始まりと自己を感じた」という解釈ですが、そういったシチュエーションに置かれたり、大切な人に名前を呼ばれる場合は、気楽に誰かに名前を呼ばれるのとはまったく違って特別な意味合いを持つはずです。

Laura: そして「Now I'll spread wide a map called you (君という地図を大きく広げてみよう)」という歌詞が出てきますが。

Dr. Stein: まさにそれがMap of the Soulなんですよ。「You」が魂です。そこが内であっても外であっても、場所は関係ないです。

Laura: 内と外が一致するというユングの共時性 (シンクロニシティ) のコンセプトと通じますね。

Dr. Stein: シンクロニシティは後から出るアルバムのコンセプトになるかもしれませんね。シンクロニシティと自己 (セルフ) はテーマとしては一緒に成り立つものですし。では5曲目のHOMEに移りましょうか。

Dr. Stein: Mi Casaですね... 笑 

Laura: あそこでスペイン語を入れてくるのがとても興味深かったのですが。

Dr. Stein: 国際的スターになった彼らのグローバル化の1つなのでしょう。Mi Casaという言葉は宮殿ではなくコテージや小さな家といった質素な住居なイメージで、より親密感が沸きます。ここで言っている家というのは「魂の宿る家」ということなのでしょう。魂が宿っている家にいるときは、肩ひじを張らずに、地に足の着いた快適な生活をしているということだと思います。

Laura: BTSのファンの呼称はARMYですが、彼らはARMYをMy HOMEと呼び、この曲はARMYの歌だと言っています。曲中では「I will go and come back (行って戻ってくる)」というフレーズを繰り返しています。ここでの「going」という表現が帰属する場所に行く、という意味の「going」だという解釈もあります。

Dr. Stein: その通りですね。RMの国連でのスピーチではソウル近郊の小さな村出身だと言いましたが、有名になり世界的なセレブリティーになった今、韓国がMi Casaだという気持ちから、世界中のいろいろな場所にMi Casaがあると変わっていったのではないでしょうか。愛され受け入れられている場所はHOMEですが、先ほども言ったようにMi Casaというのはもっと親密な意味を含みます。長旅に出かけるけれど、Mi Casaのことはいつも覚えていて、そこに戻ってくるということですね。


*出典元:Speaking of Jung Interviews with Jungian Analysts Episode 44: Murray Stein, Ph.D. ~ Apr. 14, 2019 ~ A Jungian interpretation of BTS’s Map of the Soul: Persona (https://speakingofjung.com/podcast/2019/4/14/episode-44-map-of-the-soul-persona) by LAURA LONDON

*意訳となりますのでご了承下さい。無断転載はお控えください。和訳を他のサイトやSNS等で紹介していただく場合は、引用元のリンクURLも貼り付けをお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?