あのこ

わたし、くやしいの。
わたし、くるしいの。
あのこがにくくてにくくてにくくてにくくて、くやしいの。

わたしよりも先に君と出会ったあの子が
わたしよりも先に君と言葉をかわしたあのこが
わたしよりも先に君のすきな食べ物を知ったあのこが
わたしよりも先に君の心に触れたあのこが
わたしよりも先に君からすきを貰ったあのこが
わたしよりも先に君の思い出になったあのこが

君の頭の中に1ミリでもあのこがいるって思ったら
君が君じゃなくなっちゃうような気がして
わたしがすきな君はあのこのための君なんじゃないのかって思っちゃって。

でも、あのこがいてくれたから、
君のすきな色も音楽も時間帯も季節も食べ物も、ぜんぶ知って、君に合わせた答えを用意できてた。運命を作れた。あのこのおかげで。

くやしいし、くるしい

でも、あのこがいなかったらわたしは嫌われてたかもしれない。
君のすき食べ物を嫌い言って困らせてしまっていたかもしれない。

でもそれでもまだ、君にとっての大切があのこだったらどうしようって不安になって、こわい。

きみのことはすべて知りたい。
でも、君の中に少しでもあのこがいるなら、知りたくない。
でも知りたい。知りたい知りたい知りたい。
忘れてよ、あのこのこと。消してよ、写真も、トーク履歴も、記憶も。
わたしが知りたいのは君で、あのこじゃない。
君の頭の中を覗いたときに、あのこの情報が出てくるなんて許せない。
わたしが知りたいのは、君の好きな髪型であって、あのこの得意な髪型じゃないんだよ。そういうことなの。わかってよ、ねえ。

君の、君の、一部が、いやだ。
きらいできらいで、わたしで染めたいのに、残り香が消えてくれなくて、
でもいつか、
君とあのこがやり取りをした以上に君とわたしはやりとりをする日が来るし、
君とあのこがいった場所ぜーんぶ君とわたしで行くし、
君とあのこが一緒に食べたものぜんぶ一緒に食べるし、なんなら一緒に作るし、
君とあのこがしたことぜんぶ、わたしで上書き保存するの。
一生一緒、君が言ったんだよ。
死ぬまで一緒、ううん。死んでも一緒だよ。
離さないよ。離れれないね。
ずっと、ず〜っと、手を繋いでいようね。

ちなみに、一生一緒は破滅の呪文なんだよ。
君は知ってたのかな?
一緒に破滅しようね。
地球最後の日が来ても明日の予定を立てようね。
だいすきだよ、おやすみ。



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