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【許してくれ】 謹慎中だが…どうしても見届けたい〝引退レース〟があったんだよ

もともと、それほど大きな金額を投じるギャンブラーなんかではない。
競馬とケンカと毒舌を売りにしている粗品さんとは大ちがい。1日で1万円溶かしてしまったら、もう意気消沈して諦めてしまうぐらいのヘタレだ。

やはり労働で稼げなければ、そういう遊びをやってはならんだろう。
労働で得られる賃金がどんどん安くなっていくこの時代。ギャンブルの当選金は相対的に魅力的すぎる。このままではギャンブル依存症になって持ち金を溶かしてしまいかねない…といった危機感へと至り、現在のところギャンブルは謹慎中だ。

ただ、今日だけは…今日だけは許してほしいのだ。
好きだった選手の引退レース。それをどうしても見届けたくて。


超高収入だ、競輪選手の世界

こんな厳しい時代だけど、競輪業界全体の経済状況は右肩上がりだという。競輪全選手の平均年収は実に1400万9345円(2023年)なんだって。びっくりする。

もちろんこれほどの高級取りになれるのは、競輪学校を卒業できた選ばれしアスリートたちだけだ。常に落車による大ケガという危険(時には死亡事故にさえなってしまうこともある)に晒されながら日々戦っている。日常生活も娯楽も相当制限される。この高年収には納得がいく。

その一方で、年に2回の審査によって成績下位選手を強制的に引退させる制度がある。毎回のレース戦績によって競走得点というものが加点(もしくは減点)されていくのだけど、所定の条件(男子選手の場合、2期連続で70点未満かつ通算3期の平均競走得点が70点未満)を満たす選手の中で、下位となった30名が強制引退させられてしまうのだ。

競輪選手には、その数こそわずかであれ、還暦を超えてなお活躍している選手もいる。他方でほんとに若くして引導を渡されてしまう選手もいる。

私はそれほど競輪歴が長いわけではないのだけど…個人的に思い入れのあった選手が引退するというニュースを見た。

竹元太志選手。競輪学校107期を在校10位で卒業したという。まだ28歳。
一度はS級に手の届くところ(A1級)までの昇級も経験している。115期の竹元健竜選手とは兄弟で、弟の健竜選手は現在A1級にいる(競走得点86.425)。つい3ヶ月前の24年3月30日の伊東競輪では、兄弟で同じ日に同じ競輪場で1着している。

こういう車券取りたいよなあ…(オッズパーク https://www.oddspark.com から引用)

このレースは買わなかったけれど…すごいな10万車券。

とにかくムラの大きなレーサーだったけどなあ


この太志選手、とにかく戦いぶりにはとても癖のある選手だった。

わりと諦めの早いところがある。ただ、ツボにはまれば強い。ちょっと狂気じみたレースをする。心のなかで自分ひとりで彼のことを(リスペクトをこめて)MAD竹元って呼んでいた。私が物色していたレースに彼の名前を見つけたときには、ダメ元で彼を1着にした2連単で流した。1度か2度は万車券を取らせてもらったことがあったと思う。ただ、残念ながら多くは裏切られてしまった。

それでも「ツボにはまれば強いけど、諦めも早い」ってのはわかっているから…私にはとてもスリリングな選手だった。

右の青い数字は着順。多くは7車建てのレース
2023年の戦績は可も不可もなさげなんだけど…

不覚にも私がいちばんのめりこんでしまった2023年の戦績をあらためて眺めてみたけれど…それほど悪くないのになあ。ちなみに、2023年1月9日の競走前時点での得点は70.888、2023年8月4日の競走前時点での得点は69.058 、2024年1月1日の競走前時点での得点は68.076。

2024年の戦績

今年に入ってからの戦績。引退レースとなったきょう(2024年6月20日)の競走前時点での得点は64.599だった。今年に入ってからはかなり私も節制していたので、彼の戦況はよく知らなかった。うーん…実は、競走得点のつけ方のほうはほとんど知らないのだ。

別府競輪モーニング3日目第3レース (A級チ一般)


たまたまYahoo!が配信した西日本新聞の記事で、竹元太志選手の名前を見たわけだが、今日のモーニングがまさかの引退レースだという。マジか?

競走得点が70を切ったA3級選手というのは生き残りに必死だ…ということは知っていたけれど…なんだか寂しいなあ。男女あわせて2300人いるという選手の中で、名前を聞いて走りっぷりが思い浮かぶ選手なんてのは、S級の選手を含めてもそれほどいないわけで。

Yahoo!の記事についたコメントを見ると、体型に関する厳しいツッコミが並んでいた。ただ…腹筋を使うスポーツだ。実況をYouTubeで観戦すると,チャット欄には「競輪は腹」なんてふうな、揶揄なんだか本質なんだかわからないコメントが並ぶ。太志選手に限らず、腹回りの立派な選手は少なくない。

とにかく…引退レースとなれば、やはり見ておかなければなるまい。

別府競輪モーニング3日目第3レース (A級チ一般) の出走表

多くのレースは7車立て(重賞レースは9車立て)だが、モーニング開催のチャレンジ戦ということでこのレースは5車立て。今場所も7着、7着ときての最終日。予想の「×」印もご祝儀ってところか。

実はこの日、3枠の礒田義則選手もこのレースをもって引退ということになっている。55歳か…私と同じだ。63期生。1989年にデビューしてS級にも昇級している。この方はむしろ、年齢に引導を渡された(というより怪我に泣かされたようだ)格好だと思う。

4枠の野崎修一選手は、実に還暦を過ぎて61歳になってなお走り続けている。還暦超えのレーサーは現在6名いるらしい。

まあ今日はそれほど真面目に買うつもりはない。1着は竹元選手だと確信していた。2着は…還暦越えのレーサーにリスペクトをこめて野崎選手を選ぼう。まったくのダメ元といったふうで、3連単を5→4→全 というふうに3点を流して200円ずつ買った。最終オッズは、5→4→1が137.7倍、5→4→2が104.8倍、5→4→3が158.0倍だった。

番手絶好という言葉があって、先頭選手が風除けになってくれる2番手を走る選手は体力を消耗しにくい。そんなわけで、野崎選手の差し脚に期待をこめて、1・2着が返しとなる4→5→全も3点買っておいた。こちらも入れば万車券である。
このレース限定で、計1200円也を投資した。

いざ発走


黄色(5枠)が竹元太志選手

久々にみた太志選手だけど…ありゃ、しばらく見ない間に(苦笑)。
ちょっと前って、ここまで太ってたかなあ。

いや、ここまでとはちょっと…

ただ、還暦超えの野崎選手だって腹回りは立派だし、現状引退の心配のない競争点トップ・秋永選手のお腹もそれなりって感じ。やはり競輪は腹、なのだよ。

スタート直後の竹元選手は正攻法(誘導員のすぐ後ろ、隊列の先頭)の位置どりに成功し、しばらくはそのまま流すように先頭を駆ける。

誘導がはなれる間際に単騎の①宮原選手(白)が、⑤竹元選手(黄)の追い抜きを試みるが、竹元選手がインでそれを突っぱねる。

最初の並びをキープしつつも①宮原選手が再度仕掛けにくるところで、残り1周半のジャン(打鐘)を迎える。

2番手につける競争点トップの②秋永選手(黒)が、巧みに宮原選手を前に出させない走りを見せる。①宮原選手はここで万事休すってふうだ。

そしてゴール前。②秋永選手(黒)には足に余裕があるかのように見えた。たぶん本気を出せば、ここから一気に差すことはできただろう。

結局、事実上②秋永選手(黒)に花を持たせてもらうような格好にはなった(かな?)けれど…⑤竹元選手(黄)が見事に有終の美を飾った。そして3着には、還暦超えながら勝負強い④野崎選手(青)が入着した。

着順・成績・配当金
まあ今日ははなから勝つ気なかったからいいんですよ ^^


セカンドキャリア


「お仕事の話を数件いただいているし、まずは世の中のいろんな経験をしてみたい。あと、いつになるかは分からないけど焼き肉屋をやれたらなぁって。こんなに太っている自分が出す肉だったら絶対においしいって思ってもらえるでしょ?」。

https://race.nishinippon.co.jp/keirin/news/detail.php?id=11236  から引用

燃え尽きるまでレーサーとして走り続ける人生もいいだろうけれど、セカンドキャリアを見据えるなら、若いうちにS級に手が届くところまでいってそこで気力が尽きてしまった…という人生だってありだと思う。若いのだから(私のように)どれほど求職活動をしても仕事がない、なんてことは無いだろう。

スポーツ選手なんだから…食べることは好きだろうな。
焼肉屋、開店できるといいなと思う。私も頑張らなくてはならない。
なんとか私自身の経済状態を安定させなくてはならない。
心おきなくギャンブルが楽しめるぐらいには蓄えなくては。

ともあれ、太志選手。お疲れ様でした。

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