見出し画像

「やって良かった!」のプレゼン・登壇のために

こちらはDevRel Advent Calendar 2021の12/12分です。

追記:

DevRel Meetup in Tokyo #72 〜一段上のプレゼンテーションを目指して〜」で本記事の内容を元に登壇しました。文末にその際の資料を掲載しています(2022/03/02)。

せっかく時間を取ってプレゼン(今回は、「登壇」も同じとして説明します)をやったなら、「やって良かった!」にしたいですよね。この場合の「せっかく時間を〜」は発表者だけでなく、聞いてくれた人の時間の意味もありますよ。ちょっとドキっとしてくださいね!

今回は、「資料作って説明したけどピンと来ない」あるいは「プレゼン苦手だから出来れば避けたい」という方達に、「こんな感じでやってみましょう」というガイドを提供します。ポイントは3つです。

  1. 主役はあなた自身

  2. 対象を意識

  3. ストーリーを重視

主役はあなた自身

よくある間違い、それは何もかも1枚のスライドの中に詰め込むこと。お役所系の資料などによく見られる傾向でした(そうでないお役所系の資料作成している方、ごめんなさい)。

イラストも文字も、詰められるだけ詰める、あるいは文字がたくさん小さなサイズのフォントで。

恐らく「資料が一人歩きしても分かるように」という配慮でしょうが、だったらPowerPointとかGoogleスライドとか、Keynoteで作る必要ないです。Wordとかの文書作成ツールで作ってください。もっとしっかり文章で説明して欲しいです。

発表者が主役でないスライド

「プレゼンテーション」は、発表者が行うものです。資料はその補助です。言いたいことを全部書いてしまうと、発表者は必要なくなります。実際、聞き手は発表者の声に耳を傾けずに、表示されている資料を読み始めます。資料が配付されていればページをめくります。せっかく発表者がが大事なポイントを強調してもスルーされる可能性が高いです。

発表者の「あなた」が発表、というより「説明」しているスタイルにしましょう。強調したい大事なところでは、ちょっと間を置いて聴衆の関心を引くとか、ジェスチャーを使って説明するとか。説明している箇所以外に視線が行かないように1スライドには1トピックにしましょう。

ヒント:緊張を抑えるには

「人前で発表なんて緊張しちゃって絶対に上手くいかない!」という方のために少しヒントを。
1)3回練習する
3回でいいです。それ以上だとダレます。時間も計ってください。
【規定の時間より短かったら】
→ラッキーです。ゆっくり、適度に間を置きながら話しましょう。ぐっと伝わりやすくなります。
【規定の時間より長かったら】
→ラッキーです。それだけ話すネタがあるということです。質問があったときにそのネタも使えます。でもまずは、いくつかの説明を削ってみましょう。
大体3回も練習で話せば、自信も付いてきます。それでもまだ緊張します?大丈夫です。そもそも少しは緊張した方がいいんです。気が引き締まるので。そう思ってください。
2)瞑想する
大げさなことをしなくてもいいです。静かに目を閉じて、鼻から息を5秒かけて吸って、口をすぼめて15秒かけてゆっくり息を吐きます。これを頭の中で数えながらやります。吸うときに「1」、吐くときに「2」、また吸うときに「3」、吐くときに「4」……。10まで数えたら、また1から数えます。2, 3分もやれば充分でしょう。

対象を意識

プレゼンテーションによって対象(聴衆)のマインドがA地点(元の場所)からB地点(ゴール)に移動することが目的ですから、対象のことをよく知る必要があります。そのプレゼンテーションの聴衆に事前に調査が出来ればベストですが、そうも行かないこともあります。

そんなときは、コチラから定義するというパターンもあります。もちろん適当にではなく、調査会社によるデータ、政府や自治体によるデータ、メディアの調査によるデータなど、さらに対象の属性に近いそうからのヒアリングから対象の抱える悩みなどを定義します。

そして、プレゼンテーションの概要文に「XXXXな方のために解決策を提案します」と定義して記載するのです。そうすれば、実際に「XXXXな方」が聴きに来てくれ、対象とピッタリ合います。もし違う人が聴いても、「対象じゃなかったんだな」となります。

この記事も対象を決めて定義しています。冒頭に「今回は、……という方達に」と書いてありますよね。

対象が決まったら、その人達に合った用語や詳細度で説明します。マネジメント層向けと、現場のエンジニア向け、あるいは上級者向けと初心者向けでは違いますよね。

ストーリーを重視

発表方法で「間を置いて」と説明しましたが、これはそもそも聴衆には集中力がないからです。聴衆はあなた「に」お願いして話してもらっているのではなく(そういう場合もありますけど、大多数の聴衆は違います)、あなた「が」お願いして聴いてもらっていることをお忘れなく。

とはいえ、「自分は小説家や脚本家じゃないし……。」と思うのはごもっともです。そんなハラハラドキドキのストーリーは不要です。テンプレートがこういう場合に有効です。この場合の「テンプレート」は、「デザイン テンプレート」ではなく、「ロジック テンプレート」です。いくつかのテンプレートに則ってストーリー、つまり話の流れを組み立てましょう。

ダイヤモンド モデル

私が以前、『プレゼンテーションを支える技術』という本で説明したモデルです。

ダイヤモンドモデル

1)始めに言いたいポイントを持ってくる
2)次にその理由を3つリストアップで読み上げる
3)その次に3つの詳細をそれぞれ説明する
4)再度3つの理由をリストアップで読み上げ、
5)「という理由から」で言いたいポイントで締める

類似の方法として、PREP(Point-Reason-Example-Point)というのもあります。

ゴールデンサークル理論

サイモン シネックの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というのは有名なので、見たり聞いたりしたことがあるかも知れません。みなさんがリーダーでなくても、「行動を促す」というところでとても参考になるはずです。

Whyから始める

プレゼンテーションでは、とかくWHATから始めてしまいがちです。たとえば、企業であれば売りたい製品やテクノロジーです。そうではなく、WHY、「なぜ」というその理由から始めると、聴衆は心が動くということです。

こちらについては、ビデオや書籍で詳細を確認してみてください。

まとめ

今回は、下記の3つのポイントに絞って説明しました。

  1. 主役はあなた自身

  2. 対象を意識

  3. ストーリーを重視

今回説明した方法を何度か試して、自分なりの効果的な方法を見つけてください。なおスライドのデザインについてなどは、別途さらに詳しくご説明する予定です。




おまけ

ここまで読んでいただいた方のために、追加情報を!

オンライン時代のテクニック

いずれまた普通に対面でのプレゼンテーションが主流になることを見越して今回の説明は作っていますが、当面のオンラインプレゼンテーションで役立つヒントもいくつか説明します。

1)顔を出そう! カメラON!
聴衆として、ではなく、発表者として、ということです。聞き手の場合にも、ミートアップなどではぜひ顔を出してプレゼンテーションに反応してみてください。カメラOFFの聴衆だらけだと発表者はやりにくいものです。発表者はONにしましょう。テクニックという程でもなかったですね。

2)視線はなるべくカメラに!
対面のプレゼンテーションなら、なるべく聴衆に顔を向けますが、オンラインの場合、聴衆がカメラOFFなので自分の画面に視線が行きがちです。詰め込み放題のスライドだと、いかにも読んでいます的な視線の移動で聴衆を置いてけぼりにしてる感が出てしまいます。シンプルなスライドで、キーワードをチラ見したら、あとは視線はカメラ(=聴衆)に向けましょう。

3)カメラに写る自分の大きさに気を遣おう!
ラップトップ マシン内蔵のWEBカメラのせいかもしれませんが、発表者の顔だけしか写っていない場合もたまに見受けられます。せっかく発表者が主役のプレゼンテーションを目指してジェスチャーをしていても写りません! 胸から上全体が写るように、カメラや自身の座る位置などを調整しましょう。ジェスチャーだけでなく、Tシャツの胸のロゴも写りますよ。

4)クリッカーを使おう!
せっかくカメラの位置を調整したのに、スライドのアニメーションを動かすためにマウスをカチカチ カチカチ……。視線も泳いで、マウスクリックの音も気になり、マウスが片手にあるのでジェスチャーも出来ず……。意外にオンラインプレゼンテーションでもクリッカーは役立ちます。

あとは、カメラ自身、マイク、照明などもありますが、こちらの本に書きましたので、興味のある方はご覧ください。

以上、「やって良かった!」のプレゼン・登壇のために私が持っているノウハウをご説明しました。どんなものでもアウトプットすることに価値や意義があると思っています。苦手意識を持っている方でも、Lightning Talkなど短めのものから経験を重ねて、カンファレンスで登壇できるようになるまでやってみてはいかがでしょうか? きっと新しい発見や出会いが待っているはずです。

こちらの文章がみなさんのお役に立てますように。

────────────────────────

登壇しました

DevRel Meetup in Tokyo #72 〜一段上のプレゼンテーションを目指して〜」で本記事の内容を元に登壇しました。下記がその際の資料です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?