そのおしっこ、ください

現在病院に腎結石の破砕手術のため入院しているのだが、手術後に腎臓に直接つながったカテーテル(管)と、尿道カテーテルでの尿量チェックが始まった。右わき腹背後に穴をあけて腎臓に管を通してそこからおしっこを採り、また尿道に管を通して左の腎臓からおしっこを採ってその尿がどれだけ出たか、またどれほどの色なのかで状態を把握するのだけど、手術後初日は嘔吐が二回あったため食事もままならず、水分摂取もろくにできないという状態だったので尿量も少なくて、また血尿も見られて看護師から
「水分を取ってくださいね」
と指導されたが、気持ち悪さもあって食べたり飲んだりが難しかった。
それが手術後二日目以降、気持ち悪さもなくなり食事も全量食べられるようになり、昨日は二リットル以上摂取したため排尿量も二リットルを越えて、看護師からも
「この尿の色なら多分腎臓の管も取れると思いますよ」
と嬉しいコメントを頂けた。
沢山の水分摂取と運動(廊下をぐるぐると歩き回ること)を勧められ、昨日も頑張って水分を取ったし、廊下を十周して歩き回ったわけだけど、今朝、トイレに自分と同じように尿を溜めている人がいることに気が付いた。
トイレの中には自分が溜めた200ml程の若干ピンクの尿が透明の容器に入っていたが、隣に別の人の容器があったのだ。そこには200ml以上のおしっこが入っていて、自分が溜めている尿の色よりもはるかに薄い色をしていた。このおしっこを自分のおしっこに混ぜれば尿量も増えるし色もより薄くなるではないかと思い至り、

出来心:バカバカバカ。薄くしたいだけなら水入れればええやん。

良心:他人のおしっこも水増しもダメ!

と尿採取の目的から著しく外れたところで思考を巡らせていた。

他人のおしっこを一瞬でも欲しいと思う日が来るなんて、人生って不思議。

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