20200705

透明な視線

人が会話している顔を観察するのが好きだ。

年齢は高ければ高いほどおもしろい。
もっと言うと、互いの関係性が曖昧で推理する余白があるほどおもしろい。

例えば、電車で向かいに座っているおばさんたちの朗らかな会話や、出会い系かなんかで今日初めて会ったらしい男女のぎこちない会話、難しい言葉を使っている割に内容がスカスカなエセ知識人たちの会話などだ。

私はいつもそんな人たちの顔をよく観察している。
熱心に話をする人の目つきや手ぶり、話を聞いている人が相槌を打つときの表情筋の動き、

本当はずっと見ていたいのだが、目が合うと気まずいので程よいタイミングで目をそらす。

視線が透明になるスイッチがあればいいのにといつも思う。

ニコちゃん

交差点で信号待ちをしているとき、視線を感じたので目線を下に落とすと、ニコちゃんのキーホルダーが健気に笑いかけていた。

アスファルトの上でも微笑みを絶やさないそのストイックさを見習いたい。


誰も歩道を渡らない時間帯は鬼の様な形相をしてバランスをとっているのだろうか。そうであってほしい。

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