20210101

あけましておめでとう新しい世界。
2021年1月1日午前11時私は今、一人暮らしのたくさん光の入るお気に入りのお部屋でノラジョーンズを聞いている。
外は雪景色。部屋はあたたかくて心地よい。

一週間ほど前のクリスマスの日。
大好きな大好きな彼に別れを告げられて、その大好きな彼の痕跡が沢山残る部屋で過ごしている。
彼の座っていた席、彼が飲むコーヒーを作るコーヒーメーカー、彼の眠っていた枕。

彼のことは8年の結婚生活のうち2年ほどグダグダしていた離婚問題に終止符を打つキッカケにした。
出会ってすぐ大好きになってしまったから、誠実でいたいから、二の足を踏んでいた離婚のキッカケにしようと思ったの。
もちろん彼には離婚したことなんてすぐ伝えなかったし自分の問題として、けじめをつけた。
彼と上手くいかなくても私が離婚を選択したからそれについては今も後悔なんて1ミリもない。



私の振られ方は一般的ではないし、今とてもつらいけど彼には本当に感謝しかないの。


思えば彼を好きになって新しい自分にたくさん出会えた。
私の性格上、ごはんを作らない人に味付けについて言われたり意見されたら怒ってもう二度と作らないんだけど、彼は納得のいく理由と改善策も同時に提案してくれるという一風変わった人だった上私は怒りを感じたことが1度もなくそれを実践した。不思議な感覚だった。彼へのリスペクトがあったからだと思う。
例えばこれは味付けが少し薄いから、ポン酢とラー油を合わせたタレにつけると美味しくなると思うと提案してくれて、すぐやってみると本当に美味しくなって、そのままだと薄味だったなと自覚できた。食卓に関することだけでもそんなエピソードは山ほどある。
他にも彼の言うことは大抵受け入れられた。
今までの私なら男の言うことは遮って自分の意見に変えたし聞こうとしなかった。でも彼だけは違った。
それから離婚するにあたり自分で今のお部屋を借りたんだけど、今までじゃ想像出来ないぐらい掃除をこまめにしたり、思いついたことをすぐ実行した。これが足りないと思ったらすぐ買いに行くし、部屋のことだけじゃなくやらなきゃと思ったことを後回しにせず全部すぐに実行できた。こんな自分はじめてかもしれないと思った。
彼とは食に関して信じられないぐらい相性がよくて楽しかったから、私は人生で初めてこんなに料理したというぐらいした。でも1回も嫌だと思ったことは無いし喜んでくれる彼も見たいし、何より創作意欲がすごくて睡眠時間の少なさや体調の悪さなんか抑えても毎回2時間かけて精一杯ごはんを作り続けた。調味料も食器も飾り付けもより一層こだわるようになった。こんなこと出来るんだって新発見も新発見だった。1年経ってもどれだけ経ってもそれは衰えなかった。
彼という人は、私が今ままでみたどんな人より美食家だった。食べ物も飲み物も料理しないのに、別にシェフじゃないのに知識があった。何より他の誰よりも、こんな人見た事ないと思ったのは舌がいいことだった。鼻もよかったけれど、彼は味の分析が的確で、それを表現出来て、こうすると美味しくなるということを食事する度に真剣に考えていた(総じてしまえばただの食いしん坊だか)
このソースにはこれつけたら美味しいと思うよ。ほら。と毎度私の作った目の前の料理で創作してくれた(笑)もちろん、外食してもそうだった。私は元々、食べ物単体というよりは、食べ物と飲み物の美味しい「マリアージュ」を考えて料理のトータルのメニューを考えるのが好きだった。それゆえ彼との食のコミュニケーションは楽しくて仕方なかったし、何より彼の美味しそうに食べる姿が大好きだった。

自分に対する新発見だけじゃなく彼の魅力もたくさん話せるぐらいみつけた。
食器が増えすぎて引っ越して割とすぐ食器棚を買い足した。組み立てをしてくれたけど、設置位置の問題になったとき提案をしてくれた。すごく楽しそうに、これをずらしてこうして、ここにこうしたら不思議!家具が増えたのに広くなったように感じるでしょ!と言われて本当に感動したし嬉しかったしそんなことをできる彼の意外性にきゅんとしたのをよく覚えている。
照明が切れた時があった。買いに行こうと言ってくれ、信じられないぐらい種類のある家電量販店の電球の中私より真剣にさがしてくれて、色の違う照明の位置を変えて工夫してくれ、ベッドの上の箇所は明るすぎるからと布をあてがい雰囲気をだしてくれたり、足りないスタンドライトやらどさくさに紛れて頼んだメイク用ライトを、私が仕事に行っている間に買い足してくれ、帰ってきた私にサプライズとしてみせてくれた。感動したりそんな演出ができる彼の完成の豊かさに好感度がもっと上がった。
彼が賢さをもっているのは話していれば分かるし、でも金銭的な豊かさや賢さを決してひけらかさない品を兼ね揃えたところがなにより好きだった。ユーモアもあるし、私が彼のしたことで笑うと嬉しそうにしている顔も大好きだった。出会った頃はよくキラキラした「あなたに興味あります」と目が言葉を発しているぐらいわかりやすい顔でじっと私の顔を見つめて、「今日のメイクは目が孔雀みたいだね」「今日のお洋服はこうだね」「かわいい」ってオシャレの大好きな私の変化をよく見てくれたし、照れ屋の彼の独特の表現が新鮮だった。
何より2人でいる時はすごくリラックスして、他の誰にも見せないだろう彼の姿が大好きだった。おちゃめで愛嬌たっぷりなところも、スーツを着たらとってもカッコよくなるところも、弱いところも、全部含めて大好きだった。
人生で初めての大恋愛だった。
美味しいものを食べている時、美しいものを見た時、感動した時、全部彼の顔が浮かんだ。シェアしたいって思った。そんなことは人生で初めてだった。ずっとずっと彼のことを想っていたし、自分でも病気なんじゃないかと思うぐらい彼が私の中心だったし、これから私の人生のために好きなことで食べていくことの準備もしたかったけど、もうそんなことより彼に夢中だったから、恋は病だなって思いながら2年近くを過した。なにより37歳のおじさんが可愛く見えるなんて、完全に沼だ(笑)

お別れの理由だって、特殊。
1番は、結婚して私が家庭に入るとお家が特殊だから私が私じゃなくなってしまうだろうっていう予測。
自由な私が好き。俺は家に縛られて不自由だから。もしも結婚したら私が不自由になってしまうって。

私は今でも彼との関係で、こういえばよかった、言わなければよかった、こうしなければよかったすればよかった、なんて思うことはひとつもない。いつも全力だったし嘘はひとつもなかったから。なんの後悔もない。だから別れてもこの点に置いては救われる。
何がつらいかって、もうあんな優しさを今後ひとつも貰えないことだ。あんなにも愛情を私に向けてくれてたのが、今後他の人に向けられて行くのかと思うと信じられないくらいつらい。大好きな人から信じられないぐらい優しくしてもらえるあの心地良さは私にとってどんなブランド品より価値があった。

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