景色の中、建築

景色、は人のつくったものだと思います。建築物、も紛れもなくそうです。わたしたちは普段そのことを気にも留めないのは、情報を取捨選択して生きているからです。そうでないと、まっすぐに歩けもしません。けれど時々、ふとめを上げて見たものにわたしはこころを奪われ、その時に初めて気がつきました。ものにはひとつひとつの命が込められていて、それはまたわたしたちと同じように獣のような牙を含んでいるし、躍動しているのだということに。そういう時は無論、わたし自身の存在でさえ、拡大し、また縮小し続けているほどにあやふやでしかありません。そのことは真実です。けれどそれは言い表す必要はなく、ただ関係性なのだと思います。他人は、あなたはそのことに実は嘆いているのだとか、はかなんでいるのだと、大げさに言いますが実際は違っていて、わたしは気分に埋もれているわけではなく、呆然としているのでもなく、ただ、時間も自分も燃え続けているのだというそれは、実感でしかありません。物事は、あるいはわたしとあなたは簡単に入れ替わります。そのことに対する扉は、目でしかなく、見ることでわたしはあなたにもなり得ます。大事なのは、存在するものすべてが持ち合わせている、るつぼのような可能性で、人間は唐突に、それを言葉にすることさえ出来るのです。

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ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。