晩春のモニュメント
千円札の企みと表札の土下座を果物として扱う
ネットショップは際どい語句に価格を付け
温めた老廃物を、吐き出す装置に繋ぐ
夜明けに近く朝に遠く、避雷針は凶器になりたがり
取り巻くドローンに無声の怒り
きのうまでの春雷は高校生になついて
桃とばかり呟いて少女の尻を意識した
渇きに似た闇は必然性を欠いて仮面の一部になり
新しい味覚を彷徨い誰かを再生
温い秘密は蜂蜜の瓶で固まり、寄り添う情緒をゆっくりと開腹してゆく
本性は一人遊び
適度な香水は下水に浪費され、甘辛の交差点では相談が絶えない
時価と書かれたメニューの快楽は品切れていた
LED照明の下で冠詞と接続詞が同棲し
無駄な仮説を産み落とす
七味唐辛子が降り注ぐ各駅停車の古い駅舎
花火は一向に災いを停止せず、自己肯定が夜までループ
あんたと呼び止める類人猿は、檻ごと生ごみになった
人魚はいくらですか、主食はなんですか
水槽のエアポンプは鬱病へ落ちる
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