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【ヲタ活レポ】第41話「ハートサングラス」〜一宮フォーエバー/whipCIRCUIT2篇〜


■今回のテーマ曲■


■第41話「ハートサングラス」■

【ハートサングラス】

あの夏に戻れたら。。。

そんな風に考えたことが何度あっただろうか。2009年のヲタくを始めた頃か、2012年のAKBが絶好調だった頃か、2015年の輝かしいあの坂道の青春か、2019年のヲタく史上最上だったあの夏か。思い起こせばキリがない。
しかし、この日の私は確実に2017年のあの夏を、ハートサングラスに出逢ったあの夏を思い返していた、、、。

前の会社で仲良くしていた先輩に誘われ、新世界(俗に言う地下アイドルの世界)に足を踏み込んだのは2017年のこと。ちょうど人生の中で大失恋を経験していた私は、無意識に逃げ場所を探していたのかもしれない。そんな中、当時の主現場:原宿物語に出会い、そのライブを観ていく中で様々なアイドルに出逢った。それまでの秋元康こそ全て!みたいな考え方はなくなり、アイドルの世界がこんなにも広く、そして奥深く、ドラマに溢れていることを知った。26時のマスカレイド、通称ニジマスに出逢ったのもそんな最中のことだった。

TIFのメインステージ争奪戦への前哨戦ライブが、白金高輪SELENEb2で開催され、Task have funや天晴れ!原宿(現appare!)など現在のアイドルシーンで確固たる人気を誇るグループと出逢った。ニジマスと出逢ったのもこの日である。ニジマスはこの日、新曲を披露した。それが、後の代表曲となる『ハートサングラス』だった。当時から人気を集めていたニジマスは見事に前哨戦を優勝、そしてメインステージ争奪戦でも優勝してTIFメインステージへの切符を手にしたのだった。
当時のTIFメインステージは、今日のZeppダイバーシティとは異なり、駐車場エリアに特設ステージを設けていた。その規模感は図りしれず、正真正銘のメインステージだったと今では感じる。翌年からTIFの会場レイアウト変更に伴い、メインステージはZeppダイバーシティへと移されるのであった。。。
この"最後のメインステージ"で歌われた歌も『ハートサングラス』だった。

その後もニジマスのパフォーマンスを観る機会は多く、対バンで出演していれば必ず足を運んだ。意識はしていなかったが、ニジマスは私のヲタく人生の中で知らず知らずとその領域を広めていたのだろう。『チャプチャパ』『ハローハロー』『ゼンキンセン』『心から』そして『マスカレイドは眠らない』など好きな楽曲も多かった。意識の裏側でニジマスという存在が自分の中に強く根付いていたことを実感し始めていた。

【解散】


しかし、2022年10月30日。ニジマスが6周年を迎えたこの日、彼女たちは解散することになった。そこまでの想い入れは無いと自負していたが、気がつけばチケットを購入し、最後の舞台国際フォーラムホールAに赴いている自分がそこにいた事に自分でも違和感を覚えていた。それまでワンマンに行ったことも無いし、特典会も行ったことがなかった。それなのに解散ライブだけは行こうだなんて虫が良すぎるようにも感じていた。

「一度くらいワンマンをしっかり見てみよう。今日は静かな気持ちで。」

それくらいの心持ちで臨んだはずだった。しかし、ライブが始まって最初の楽曲『ハートサングラス』が始まるとリズムに合わせて振っていたペンライトは次第に、自身が盛り上がったときに持ち変える逆手持ちになり、声が出せないが故に最近身につけた手拍子MIXをしている自分がいた。にわかで好きだったグループでさえこんなにも盛り上がれるのかと自分でも驚いてしまったほどだ。

途中でペンライトの電池が切れてしまい、途方に暮れていたが、ライブ前に購入したニジマスくんという魚の虹鱒のぬいぐるみをそれからはブンブン振り回した。5年前に憧れていたこのニジマスくんを振り回す光景を自らが体感していることに胸が熱くなった(笑)。

撮影:著者

【大嫌いだった吉井美優】

◆吉井美優さんの公式Twitter

彼女のことが嫌いだった。その理由は2017年に遡る。投票結果に満足できずにいたのか拗ねている表情を見てしまい、そのことをツイートした。あまり誇れる内容ではないが、そういったネガティブツイートに彼女はいいねをしてきた。その行為が個人的にとても腹が立ち、勝手に吉井美優を嫌う自分がいた。でも、本当は好きだった。容姿はもちろん、彼女の美しく細く伸びるような裏声は、楽曲のオチサビで確固たる世界観を創り出す。いつも真似してしまうほどに好きだった。でも大嫌いだった。

今思えば、ただただ自分の未熟さと愚かさの表れでしかない。

しかし、コロナという時代になった時、たまたま観た配信で彼女はこう言っていた。

「私は馬鹿だ。難しい言葉もわからない。感情もすぐ表に出てしまう。そんな自分が嫌になる。」

吉井美優

言い回しは定かではないのだが、おおよそこうした意味の内容だった。その時、この人は単に素直なだけなんだと思った。あの時は嫌な奴と思って嫌悪してしまったけれど、きっと素直でいい人だからこそのいいねだったのかもしれない、そう考え始めた時、なんだか彼女のことが好きになった。いや、大好きになった。心のなかで正直になれた自分もいたように感じる。

ラストライブでは、彼女ばかり観ていた。一度も直接話したことはなかったし、彼女はこんなこと覚えてもいないだろう。だけど、私の中では大きな、大きな思い出なのだ。

【心から】

ニジマスとの思い出を懐古しながら、自らのヲタく人生を振り返っていた。メンバーひとりひとりの最後の言葉はどれも紡ぎたくなるほど温かくてそれだけで胸がしめつけられるほどに切ない気持ちにさえなった。特に来栖りんさんの言葉が忘れられない。

「明日から、もう理由がないと(メンバーに)会えないことがつらい。」

来栖りん

多くのグループのメンバー卒業や解散を見てきた。泣き崩れたことも少なくない。でも、これほどまでにメンバー愛の溢れた最後の言葉ははじめてだったように感じる。そんな言葉に涙が溢れようとしていた時、『心から』が流れた。

今年のTIFスマイルガーデンでもこの曲は想いをかっさらっていった。それだけに涙腺も弱くなっていたのかもしれない。この歌の歌詞がすべてを物語っているので最後に記したいと思う。

ありきたりな想いを伝えるよ
言葉じゃ足りないから歌うよ
真っ直ぐ届けばいいな
君に逢えてよかった
心から

『心から』26時のマスカレイド


6年間、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。心から。

エピソード:26時のマスカレイド


撮影:著者

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次の現場でお会いしましょう。


※本記事は、筆者の体験を元に主観で執筆したものとなります。あらかじめご了承ください。何卒。

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