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視聴レビュー:クィア・アイ

Netflixオリジナルのリアリティ番組『クィア・アイ』。
存在は前から知っていたけど、“水原希子が出てる意識高い系の日本版フルハウスみたいなドラマ”という謎の理解をしており(※もちろん誤った理解)見たい作品のリストには入っていませんでした。

初視聴は2週間前くらい。視聴のきっかけは忘れてしまいました。なんだっけな。。。
確か、鬼滅の刃について検索していたような・・・?笑

ともあれ、シーズン5の1話を突然視聴して(前シーズンがあることは知らず)、「何かよくわかんないけど、この人たち(Fab5)すごい」と思い、
視聴を途中で止めて作品紹介の画面を確認、シリーズなのだと知りました。

未視聴の方向けに端的に『クィア・アイ』という番組を説明すると、
5人の多彩でファビュラス(すんごい)なゲイ達が、日本のバラエティショーにある「改造コーナー」みたいにヒーロー(改造のターゲット)を激変させる番組です。

・・・なんだけど、変える対象は服装と髪型といった外見だけでなく、その人の家、食生活、そして何より内面を変える。ここがポイント。

Fab5(ファブファイブ)の「技術」によって起こる変化ももちろん大きいけど、
・Fab5がヒーローに掛ける言葉の数々
・Fab5と関わる中でヒーローがすごい勢いで内側から変わっていく様子
に胸が熱くなる番組です。

Fab5の担当領域はこちら。
美容:ジョナサン
フード&ワイン:アントニ
ファッション:タン
インテリア:ボビー
カルチャー:カラモ

5人がそれぞれ素晴らしいけど、私が特に尊敬するのはファッション担当のタン。
選ぶ服のセンスの良さはもちろん、ヒーローが企画終了後に生まれ変わった自分をキープできるような店選び&アドバイスが本当に優しい。そして相手を尊重して服を選んだり、時にはファッション外の話をしてくれるところも最高。
いつも真正面から向き合ってひとつひとつの言葉をかけている印象があり、ヒーローに掛けている言葉が画面を通じて自分に届く感覚が。彼がヒーローにかける声を聞いていると無性に泣きたくなります。
SNSのフォローにとどまらず、自伝を購入してしまいました。まだ全体の4割程度しか読んでいないけど、終わって余裕があればぜひレビューしたいなあ。。

今年、自分がリアルタイムで視聴していたリアリティ番組で、番組出演に起因して出演者が極端な選択をするという痛ましい事件に触れ、番組を面白くするためにネガティブな感情を煽るリアリティショーはもう見たくない、と思っていたけど
クィア・アイではどんなヒーロー、周りの人についても決して悪く描くことはないんです。ターゲットが抱える心のしこりをFab5は否定せず受容し、寄り添い、ほどいていく。すごくすごく温かい番組です。
もちろん各話のエンディングがより劇的に見えるような演出が加えられていることは百も承知。でも、演出の介入できない部分で惹きつけてくるFab5のパワーは必見です。未視聴の方はぜひ。

ちなみに、「クィア(Queer)」ってそもそも何?(そして「クィア・アイ」って日本人泣かせの発音が過ぎる!)という部分から。

Wikipedia先生からしっかり引用します。

クィアあるいはクイア(Queer)とは、元々は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉であり、同性愛者への侮蔑語であったが、1990年代以降は性的少数者全体を包括する用語として肯定的な意味で使われている。

つまり、「性的マイノリティであるゲイ達のものの見方」がコアなのかな、と勝手に理解しました。

今はシーズン1を見終わって、『クィア・アイ in JAPAN』を見ています。
シーズン1は「胸が温かくなるなー」と思いながらほっこり視聴していたのですが、日本版がめちゃくちゃ泣けてびっくりしています。

※もしかすると人によってはネタバレになるかもしれないので、以降の閲覧は要注意です。

in Japanは1シーズン4エピソードと、非常にコンパクトな番組。
たった4エピソードでこれほど日本らしさを押さえたトピックで構成するとは。とひたすら驚きました。「他人本位」「LGBTQの生きづらさ」「自己肯定感が低い」「他人と意見を交わすことを恐れる」以下は、Netflixの紹介文から引用。

Ep.1 自分主演ローマの休日
“女を捨てて”仕事に没頭する心優しいホスピス看護師の洋子。そんな彼女に、自分を愛しケアすることの大切さを教えるファブ5。

Ep.2 クレイジー・イン・ラブ
日本で生きづらさを感じているゲイの寛。パートナーを家族に紹介する日を控えた彼は、周りの目を気にせず本当の自分をさらけ出すことができるのか。

Ep.3 理想の女性
子どもの頃のいじめ原因で自信を無くしたイラストレーターの香衣が、ファブ5と渡辺直美に励まされ、否定的な自己像を克服する力を見出す。

Ep.4 妻のためにもセクシーに
極度の人見知りで、自分の気持ちや妻に正面から向き合えないラジオディレクターの誠人に、ファブ5は素直な思いを伝えるよう優しく背中を押す。

日本はとてもいい国で私は日本が大好きだけど、多様性に対する寛容さがなく、生きている上で「普通」「みんな」「あたりまえ」「常識」という言葉にぶつかることが本当に多い国だと思います。

これらの言葉に抵抗感はあっても、それを無くすために自分が出る杭になるつもりはない。だって「出る杭は打たれる」のだから。そう思っていました。でも「出る杭」について考えている時点で自分をOne of themと位置付けているんだということをクィア・アイを見る中で自覚しました。

どこにいても何をしていても、誰に何を言われても、自分は自分。
どんな時も自分だけは自分の味方。誰よりも自分を愛しているのは自分。

クィア・アイでもよく出てくる『WHO I AM?』
これを理解して・自分の中に確立することができたら、きっとすごく生きやすくなるんだろうと確信しています。

アラサーでもまだまだ自分探し中なんだな。

自己肯定感が低い人、漠然とした不安感がある人、特定の悩みがある人、自分が何者かわからない人、LGBTQに対する偏見がある人、人を蔑むクセがある人、才能があってその才能をどうやって使えばいいか悩んでいる人、ロールモデルを探している人、クィア・アイを是非見て、Fab5の人柄を感じてほしいです。

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