「記事署名は責任、立場の表明」 東京都市大新聞会とオンラインで交流
他団体の発信から学ぶ交流会
メディア情報学部などを抱え、果敢に活動する東京都市大学の新聞会(以下、都市大新聞会)と7月26日、オンラインで交流した。わが和歌山大学新聞会(以下、当会)は、昨年度部員1名という存続の危機に陥り、その後を急遽引き継いで現在、他団体から新歓活動や取材、発信の手法などを学び取ろうとしている。
「前会長の影響で入会」 その会長の人柄とは
世田谷・等々力・横浜の3地区にキャンパスを置く東京都市大は7000人近い在学者を抱え、学部の数は10学部と本学の2倍以上ある。特に興味深いのがメディア情報学部の社会メディア学科。メディアの仕組みやそこから出される情報の受け取り方を学べるという。そんな都市大新聞会の所属人数は44名で、実質活動者は12名とはいえ、当会に所属する3名に比べると桁違いだ。そんな都市大新聞会も、実は3年前までしばらく活動を停止させていたという。それを見事復活させた理由がメンバーの入会理由から見えてきた。みな口を揃えて、「前会長の影響で入会しました」と答えるのだ。
その前会長とはどんな人なのか。活動停止が続き、ほぼ何もない状態の都市大新聞会を見事に蘇らせたのが前会長の枝迫雄大さんだったという。枝迫さんは、多様性を重んじ、個々のメンバーの長所を活かすことに専念した。そして、各自の個性を尊重しあえるような場を作りあげたという。彼自身、興味・関心の赴くまま行動にすぐに移すタイプで、海外にでもすぐ飛び立ちかねないらしい。会員曰く「行動力お化けの面白い人」、「とても彼のことを尊敬している」などなど、その人柄に関しては語り尽くせないほどだという。機会があれば、一度ぜひ直接インタビューしてみたいと感じた。
「記事を書く」ことに向き合う会員
今回の交流会で特に印象に残ったのが記事を書くということへの向き合い方や活動そのものへの気配りだ。紙での新聞発行がベースだった当会と違って都市大新聞会は自らサーバーを持ち、デジタルでホームページ掲載している。その記事の末尾に実名での署名が入っているのだ。当会も新型コロナウイルス感染拡大を受けてホームページへの記事掲載に移行したが、署名は現状イニシャルのみにしている。その理由はネットへの実名掲載で悪用される危険性や記事内容の炎上を回避するためだ。しかし、都市大新聞会のメンバーは「自分の書く文章への責任であり、一個人としての立場表明でもある」と力強く肯定的に語っていた。また、定例会議の議事録に関しても「ずっと先に見ても何をしていたかわかる形で残す」という。当会も新入生が一名参加してくれた今、このような活動を新たに構築していきたい。
記事の内容では、交流会内で話題に上った「世田谷キャンパス被災 講義への影響は」が興味深かった。昨年度の台風19号による浸水被害がテーマで、入構禁止の構内に許可を取って立ち入り、実際の被害状況を把握、学生への影響が詳細に挙げられていた。まさに問題意識の喚起を促すという学生メディアの役割が発揮されていた。またイベント記事も面白かった。都市大では世田谷キャンパスから江ノ島までの約45キロを6月29日の夕方から翌朝にかけて走るナイトラリーという恒例行事がある。それに合わせて到着時に利用できる江ノ島の店舗情報や土地の魅力を伝えており、学生目線の地域密着型発信として参考になった。他に、教授からの紹介を受けて取材したり、学園祭の様子を取材したりすることもあるそうだ。当会では記者目線での取材・発信は多い一方で、学生目線の記事、あるいは教授と連携した取材が少ないので、参考にしたい。
「人と会えない」ことを活動の契機に
所属学生が3つのキャンパスに分散している都市大新聞会は、新型コロナウイルス感染拡大以前からオンラインでの定例会議を行なってきた。そのため、大きな混乱もなく、活動できているという。ただし取材の基本である「人と会う」ことが簡単にできないのはお互い非常に苦しいところだ。しかし、今回の交流会によって活動の方法や取材・発行という行為への向き合い方など、基本的な道筋が見直せたと思う。今後はこの「人と会えない」ことを、いかに活動を発展させる契機につなげていけるか考えていきたい。
(記者:横矢)
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