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12月の三題噺〜メメント・モリの月

週刊誌の年末号に必ず掲載されている記事の1つが、今年の物故者を振り返る記事です。ワタシ的には、中村吉右衛門さんの逝去は今年の大きなニュースでした。
そんな記事に、意外と取り上げられていないのが、11月28日に亡くなったヴァージル・アブローのこと。

享年41。ヒップホップミュージシャン、カニエ・ウエストのスタイリストであり、2018年にルイ・ヴィトン のメンズ部門ディレクターに就任したストリート系デザイナーです。ハイブランドで起用された初の黒人デザイナーとしての初コレクションで、ヴァージルとカニエがハグしながら泣いていたのは印象に残りました。 ルイ・ヴィトン全体の売り上げからすると、メンズ部門は5%程度と言われているので、彼の起用は計算づくの“冒険”だという声もありましたが、まさに破竹の勢いで、L Vモノグラムのデザイン再構築を行なっていました。おそらくですが、売り上げ的にも、彼が牽引していたものは大きかったように思います。妙な層の若者が身につけている謎の値段のLVモノグラム服は、少々、気持ち悪く感じてはいましたが。彼らが競って身に着けるフリースブルゾンの類は、ユニクロのフリースものの100倍程度の値段ですから。

ユニクロといえば、この秋冬シーズン、「+J」シリーズが9年ぶりに再登場しました。シャツを買ってみました。白、黒、グレー。綺麗な、張りのある生地は変わらずかと思いました。でも、かなり薄い。ハトロン紙のような感じ。また、比翼仕立てが無くなっていたのも残念な点です。
その時、頭に浮かんだ言葉が「合い剥ぎ」という言葉でした。1枚の和紙は、幾つかの層が重なって出来たものです。そのため、1層を“剥がす”ことが可能です。これによって、1枚の完成した水墨画から2枚の「真作」が生み出されます。もちろん、贋作作りのための技巧です。                      ワタシには、今期の「+J」、ジル・サンダー(この人もなんだか落ち着かないデザイナーで、自分の名前を冠するブランドからどんどん遠ざかって行って平気なのでしょうか?)のデザインから、あらかじめ決めていた原価に収まる服を成立させるために、仕様を剥いでいった結果の物のように思えました。

ユニクロは3年連続で出品・購入ともにメルカリ内で最も取引されているブランドだそうですが、その理由は「品質が良いので長く着られるとユーザーに認知されているから」だと、代表取締役会長がインタビューで答えていたのには吃驚しました。まぁ、「ユニクロは国民服となった」などと、歴史観というものを全く持っていないと思われる大学教授の礼讃本も見かける昨今、ユニクロ経済圏の影響力は絶大だからでしょう。でも、いずれファッション業界の死を招来するのでは、とも思います。

12月9日は作家・開高健さんの命日です。1930年生まれで、亡くなったのは58歳の時、1989年。代表作の1つ、「輝ける闇」(1968年)を読み直しました。開高さん自身がベトナム戦争の従軍記者として取材した時の経験が元になった小説です。森羅万象に関する独特かつ重厚な形容が圧倒的です。それがゲリラの待ち伏せ襲撃を受け、戦死に瀕するクライマックスまで横溢しています。
アメリカ軍は、ベトナムに次々と兵力を注ぐ一方、ベトナムの人民を懐柔するための策を弄していました。その1つが、BCG接種の促進。コンサルティング会社のことではありませんよ。結核の予防に有効なワクチンの接種です。農村部では、5人か10人に1人は結核だったと、開高さんの本にはあります。
しかし、ベトナムの農民たちは、注射器を手にした軍医を見ると、いっせいに逃げでしまったのです。アメリカ人は火の雨を降らし(つまり、ナパーム弾の絨毯爆撃ですね。Have You Ever Seen The Rain)、ジャングルを枯らしてしまう(枯葉剤の散布ですね)のだから、アメリカ人から薬をもらったら死んでしまう。BCGとは、Birth Control Government つまり「子どもを産ませない政府」の略だという噂がたっていたのだとか。
なんだか、昨今のワクチン騒ぎに似てませんか。

実際には存在しないコロナウィルスを捏ち上げ、毒ワクチンを接種させて死に至らしめ、世界の人口を1/10に減らすのが目的だとか、その主犯はビル・ゲイツだとか、ネットでは「真実」と言われるようなお話の数々。
でも、よーく考えてみてください。例えモデルナ社やファイザー社のmRNAワクチンのせいで、1億2千万の日本人が全滅しても、世界人口からすれば、およそ1.8%程度です。また、同じmRNAワクチンを国民に接種しているアメリカとユーロ圏合わせても7億程度、世界人口の10%弱にしかなりません。毒薬(確かに副反応は、そのレベルですが)を使って全滅に導いても、10%しか減りません。全く人口削減計画は進まない。
一方、13.8億人の国民を抱えるインドは、自国産の不活化ワクチンで、メキメキと患者数を減らし、当初の惨状はすっかり回復しているようです。また、人口11.6億の中国が国民に接種しているのも、国産の不活化ワクチンです。この2つの国の人口を合わせると25億、世界人口のおよそ32%です。両国への計画のアプローチはどうなっているのでしょう。ビル・ゲイツがこんなに杜撰な計画を立てる人だとは思いもしませんでした。

12月は”memento mori”な月でした。特に今年は。来年の12月に振り返って、そんなこともあったねと言えると良いですね。

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