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【プロ野球クラブW杯開催へ 世界野球連盟発表】

野球好きの戯言が現実に

その年の世界で一番強いプロ野球チームを決める“プロ野球クラブワールドカップ”の開催。
スポーツ好きなら誰しもが一度はサッカーの世界を引き合いに想像したことがあるだろう。

2023年現在、大谷翔平、ダルビッシュ有、吉田正尚らを擁すスーパースター集団、メジャーリーグ(MLB)が世界一のリーグであることは議論の余地がないだろうが、一発勝負のトーナメントであれば日本のプロ野球(NPB)がMLBを倒すことは十分に可能だと私は考える。そう、先日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のように。

そんな世界線を酒の肴にペナントレース観戦に勤しんでいるNPBファンは私だけではないはずだが、なんと、この私達の妄想話を現実に近づける扉が日本時間7/10、メキシコシティで開かれたのだった。

世界野球連盟公認下では初となるチャンピオンチーム同士による国際大会が開催決定

“野球史上初めて世界各国の野球リーグの優勝チーム同士が競う「チャンピオンによる国際トーナメント」が開催されることになる。”

同日、メキシコシティにて行われた記者会見で、世界野球・ソフトボール連盟(WBSC)会長、リッカルド・フラッカーリ氏より世界に向けて声高に発表された。

なんと、そのトーナメントはオリンピック、プレミア12、WBCなどと同格の大会の一つだというのだ。

「これ、将来デカい大会になるぞ」

この発表を知った私はすぐに大会の将来性への期待感に心を弾ませ、新たな妄想を始めたのであった。

Baseball Champions League(BCL)概要

WBSCら関係団体からの発表によるとトーナメントの概要は以下の通り。
メキシコ、アメリカ、キューバ、コロンビアのリーグチャンピオンが一同に会し、しのぎを削る熱い4日間となる見込みだ。

概要

正式名称     :Baseball Champions League(BCL)
開催期間     :2023年9月28日 ~ 2023年10月1日
開催地      :ククルカン・アラモ球場
                               (メキシコ・ユカタン州メリダ市)
レギュレーション :ラウンドロビン方式(総当たりリーグ戦)で
                                  上位2チームが決勝進出
参加チーム数        :4チーム
参加チーム            :①レオネス・デ・ユカタン
                             (メキシコ・ベースボール・リーグ / 2022年優勝)
                                  ➁ファーゴ・ムーアヘッド・レッドホークス
                                (American Association / 2022年優勝)
                                  ③アラザネス・オブ・グランマ
                                (キューバ野球リーグ / 2022年優勝)
          ④カイマネス・オブ・バランキージャ
                                (コロンビア野球リーグ / 2022年優勝)

NPB参入の可能性

大会規模は小さいが、今後のグローバル化の可能性は大いにある

忌憚のない意見を言わせてもらうと、正直、大会としての規模は残念なほど小さい。「こんな小規模な大会なのか」と拍子抜けした人もいるだろう。

しかしながら、私は今後のグローバル規模での発展を信じて止まない。特にNPBは比較的早い段階で参入するのではないか、と考える。なぜなら、

”コナミシリーズ”、”アジアシリーズ” 

この大会名に聞き覚えのある人には馴染み深いと思うが、かつてアジアでも、各国のプロ野球連盟が参加するアジアNo.1決定戦が行われていたことが
あるからだ。

アジアシリーズとBCLの共通点

アジアシリーズは2005年に始まり、スポンサー問題、日程調整問題、プレミア12新設など、紆余曲折ありながらも2015年まで続き、現在も一応大会の枠組みとしては残っている。(実際には2013年が最終開催)

上記事実だけを切り取れば、過去にアジア地域の大会があったものの、開催メリットが次第に見出せず形骸化してしまったのだなという印象を受けるだろう。

…しかし、ある決定がこの有名無実なトーナメント戦と、今回のBCLを強く結びつけることになる。

「2014年 アジアシリーズがWBSC公認国際大会に決定」


実は、このアジアシリーズはBCLより先にWBSC公認の国際大会になっていたのだ。残念ながら2014年、2015年と公認後の開催はならなかったが、本来、世界初のクラブ間国際チャンピオンシップはアジアで開催されるはずであり、今回のWBSCの発表にアジアシリーズの影を重ねたNPB関係者も多いのではないだろうか。

孫正義の「クラブワールドカップ構想」

また、いわずと知れた球界の大オーナー、孫正義氏(ソフトバンク)も2016年にはクラブワールドカップ構想を発案しており、同球団会長、王貞治氏もこのような発言を残している。

「今ならソフトバンクは(15年ワールドシリーズ覇者の)ロイヤルズとやっても勝てる。ウチのオーナーは本気だから。日本一とアジア一、アメリカ一、どっちが強いか決める時期に来てるんじゃないか」


このようにNPBは元来、国際大会への参加には積極的な姿勢を見せており、今回のWBSCの発表には大きな関心を寄せているはずである。
また、アジアの野球をリードするNPBからするとWBSC公認後に大会を開催できなかった事実は、少なからず心残りになっているに違いない。

こうした背景から、私はNPBの本格参戦の可能性は大いにあると考えている。

大会の未来は結局MLBを巻き込めるか次第

日本一、アジア一、さらに世界一という構図が完成すればWBCのように日本中を巻き込む一大イベントになることは必至だが、”世界一”の条件には当然MLBチャンピオン、すなわちワールドシリーズチャンピオンチームの参加が必須だろう。極論、我々日本人が見たいのは、王氏が言うようなMLB最強チーム vs NPB最強チームのガチンコ勝負なのだから。

そうなるとやはり、結局のところMLBが参加にイエスと言うような条件を整備し交渉していくことが、大会を継続し発展させていく最重要課題なのだろう。同時に、WBCがそうであったように、大会草創期から積極的に関与し盛り上げていくことがNPBに求められる役割なのかもしれない。

また、WBSC関係者は大会の未来についてこう述べ、将来の発展を計画している。


「このベースボール・チャンピオンズリーグは、初のプロ球団レベルのチャンピオンが集まる国際大会となります。今後数年のうちに他の地域のエリート大会や世界決勝大会も追加し拡大していく予定です。各リーグ、関係者、各野球指導者の共通のビジョンとサポートなしには実現はあり得ません」


選手の怪我リスクや資金調達などの課題に対し、すべてをクリアするには途方もない時間と労力が必要となることは容易に想像できるが、WSBCがいかに本気でマネジメントしていくのか、大きな見物である。


翻って私個人、いち野球ファンとして出来ることは、BCLのグローバル規模での発展を切に願い、友人と大谷vs佐々木の妄想話に花を咲かせることだけなのだろう。

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