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独身男が語る妻私観

こんにちは。端山です。
作りかけている記事が思ったより難航しているので違う話をして間を繋ごうかと思います。

『後漢書』という歴史書に宋弘という政治家の故事があります。この王朝は後漢書東夷伝で有名ですね、倭の奴国王に金印を送ったあの後漢です。
宋弘が仕えていた後漢の初代皇帝光武帝ですが、彼には湖陽公主という姉がいたそうです。

この姉が不幸にも夫に先立たれてしまったらしいんですね。弟の光武帝としては何とか新しい夫を見つけてやろうと色々と自分の家臣の話題を公主に振って探りを入れました。話を聞くとどうやら宋弘がよさそうだ。ところがこの宋弘、既婚だったらしいんですね。そこで光武帝は策を講じるわけです。

ある日光武帝は公主を背後の屏風に隠すと宋弘を呼び出します。やってきた宋弘に光武帝はおもむろに語りかけました。

「諺によると高い地位に上れば交友は変え、富を得れば妻を変えるというがこれが人の性というものなのかね」

宋弘は別の王朝で侍中を務め、後漢で太中大夫から大司空まで昇進した大物です。今の職業で例えるのが難しいですが秘書から法務大臣兼国交省大臣になったようなものでしょうか。
それだけ成り上がったのだから今の妻よりもっと良い女性に乗り換えないか、という皇帝からの暗のお誘いですね。なかなか悪い策です。しかし宋弘はこう答えました。

「貧乏時代の交友は忘れるな、糟糠(粗悪な食事)を共にした妻は追い出すな、私はこう聞いております」

当たり前ですが大事な考えですよね。光武帝の策を宋弘が見抜いていたかは定かではありませんが彼にとって皇帝が義理の弟になるわけですからこの申し出を受けることは出世的にも悪くない話だったと思います。それでも彼は徳を優先し、妻との義理を通したということです。このお話は糟糠の妻という故事成語になり今に語り継がれています。この言葉自体は聞いたことがある方も多いかもしれません。

先日、某漫画家がある有名タレント兼グラビアアイドルの女性と交際を発表し、妻とは三月に離婚していたことが発表されました。四年ほど前にも別の漫画家が長年の婚約者を捨てて有名コスプレイヤーと結婚したというニュースが取り沙汰されましたね。
漫画家という職業は鳴かず飛ばずの時期も長く、ひとたびヒット作が生まれると環境が大きく変わるのでなかなか立ち回りを一貫させるのは難しいとは思いますが、お二方の別れと出会いが円満なものであったことを願うばかりです。

先述の故事を聞いて「何を当たり前のことを」と思われたかもしれませんが悲しいかな、現実は公主を娶る方が多いのかもしれません。

実は端山家にはちょっとした家訓があります。"妻宝極楽"といって元は道成寺というお寺の造語らしいのですが、言うまでもなく西方極楽をもじったものですね。

”自分の妻を大事に大事にすれば極楽は西方のような遠いところだけではなく、家庭も浄土になりますよ、一家繁栄しますよ”

といった意味だそうです。この言葉を僕の祖父だったか曽祖父だったかが拝観した際に知って感銘を受けて家訓にした、というわけです。歴史が浅くて少し恥ずかしいですが、個人的にも核家族化や個人主義が進んで親子や夫婦の関係性が希薄となっている現代社会の中で、改めて大切にしていきたい考え方だと思っています。

独身の分際で何を、と言ったところですが以上最近の芸能界の不倫や離婚のニュースを見て思ったことでした。普段はあまり芸能界に興味ないんですがね、暗い情勢下で聴くとよりナイーブな気持ちになってしまうのかもしれません。

それでは。

#糟糠の妻 #不倫 #道成寺

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