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9/3今日は何の日?

こんにちは。端山です。突然ですが今日9/3は何の日かご存知ですか?

まあ僕もさっき調べて知ったんですけど、ドラえもんの誕生日らしいんですね、2112年の今日です。

ドラえもんは身長体重が129.3cmだったりネズミから逃げる速度が129.3km/hだったり1293という数値が使われがちですが実はこれ、連載当時1969年の小学4年生の平均身長らしいんですね。(129.3cm)
のび太や読者の方々を小学四年生として彼らと同じ目線で話せるキャラクターをとのことで設定されたそうです。

さて、折角の誕生日ですからドラえもんに関連して僕の好きな建築を一つ紹介します。
神奈川県川崎市『藤子・F・不二雄ミュージアム』(設計:日本設計、施工:大成建設)です。

建物外観(画像: https://www.nihonsekkei.co.jp/projects/1883/)

開放的な大窓が特徴的な建築ですが実はこの窓、ある仕掛けがあるんです。気付きますでしょうか。


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ドラえもん一巻(画像: https://csbs.shogakukan.co.jp/book?comic_id=16307)

これはドラえもんの記念すべき1話目最初のページですがこのページと先ほどの窓の右端を見比べてみてください。
はい、実はこの窓、サッシがドラえもん1話目の1〜5pのコマ割りと同じようになっているんです。中々粋な意匠だと思いませんか?

ドラえもんはタイムマシンに乗ってのび太の勉強机の引き出しから飛び出してきました。机という何処の家にもありふれた建具が恐竜時代や未来都市、あらゆる夢の世界への入り口になった訳です。ドラえもんが子供の心を掴んだの要因の一つには、この”現実世界と夢の世界の接続”が秀逸だったことがあるように思います。

ドア、竹とんぼ、電話ボックス、、どれも当時の日本にはありふれたアイテムであったでしょう。(電話ボックスはむしろ20世紀の日本の方が減ってしまったかもしれませんね)そこに様々な“こんなこといいな、できたらいいな”が加わってドラえもんの秘密道具になるわけです。
子供たちは見える景色が変わったことでしょう。引き出しを覗き込んでみたりこんにゃくを食べて英語を聞きたくなったり暗記テスト前に食パンをかじりたくなるかもしれません。(私がそうでした)

先項からわざと秘密道具名を伏せたまま書いていますが大体何の道具か想像がつきますよね。このようにあえて前衛的なデザインではなく日常のアイテムから未来の技術を展開させているからこそドラえもんには他のSFとはまた少し違った面白さが生まれるのではないでしょうか。

話をミュージアムに戻しましょう。ありふれた建築家であれば建築を使って藤子F不二雄の世界を表現しようと考えたとき、直接的な形状の模倣に着地してしまいがちです。たとえばドラえもんのような恰好のドーム型建築なんかを造るかもしれません。ミュージアムというシンボリックな建物ですからこれでも誰も文句は言わないでしょう。

しかしこの設計者はあえて突飛な形を狙わず、窓という建具をそのありふれた形のままにドラえもん誕生の瞬間を切り取りました。こうして考えていくと一見無関係そうなシンプルな外観も、コマ割りだけという特殊な表現も納得がいく気がします。批判を恐れずに言えばどんな形状模倣より藤子F不二雄へのリスペクトを感じますし同じクリエイターとして、建築家としての最高の応答だと思いませんか?

今回尺の都合上1p目しか貼っておりませんので2~5pはぜひ一話を読み返して皆さんで確認してみてください。画像のurlから電子版を読むことができます。

それでは。

#ドラえもん #9月3日 #藤子F不二雄ミュージアム
#日本設計 #大成建設

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