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「🇧🇹」・「🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿」(幻獣)について|言葉ノート#2

〖2023年7月15日更新|未完成〗

あたりは付けたのですが、いかんせん本文がほとんどできあがっていません。ただ、本noteは未完成でも定期的に出すと決めているので、恥をしのんでいったん公開にします。追って更新していきます。

筆者おわび(2023年7月15日)

日本語では「竜/龍」ないし「ドラゴン」と呼ばれている幻獣は、地域によってさまざまな姿かたちをとり、それぞれで物語られている。これほど多様なのにひとつの概念で捉えているのは不思議だが、目下のところそれで落ち着いている。

概念に近い方法(=絵文字)でまず示したかったが、Unicodeには東洋のものしか登録されていない。1つだけならまだしも、2つ登録されている(「🐲」、「🐉」)ため、なおさら疑問が浮かぶ。そこで、ブータンの旗の絵文字(「🇧🇹」)とウェールズの旗の絵文字(「🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿」)で代替してみたが、Windowsの環境ではうまく表示されていないかもしれない

さて、この幻獣の呼称(一般名詞)についてWiktionaryで調べてみると、ある程度ではあるものの、グループ分けができることに気付く。以下、Wiktionaryの記述内容を——盲目的に信じて——引用する。

「𐬀𐬲𐬌⸱𐬛𐬀𐬵𐬁𐬐𐬀」圏:アヴェスター語由来


Descendants

*m-bru(ŋ/k)」、「龍」圏:シナ・チベット祖語由来?

תַּנִּינָא‎ / ܬܱܢܺܝܢܳܐ」圏:アラム語由来

「巨大な海蛇、怪物、竜」あたりを意味する。前者はヘブライ文字表記(Jewish Babylonian Aramaic)、後者はシリア文字表記(Classical Syriac)。セム語派の諸語に伝播したが、「竜」の意味を持つものは限定的のようだ。

地下世界(地震の源であり、死者が繫ぎ止められている地上界から隔絶された土地)を意味したアッカド語の𒆗𒉌𒉡(danninu)に由来する。

ヘブライ語のתַּנִּין(tanin)では、ヘブライ神話のリヴヤタンにイメージが近付いている。(旧約)聖書において、ヤハウェないしイスラエルの民の敵としてもこの語が用いられている

アラビア語のتِنِّين‎(tinnīn)のWiktionary記事の説明では、エジプト語のdnwn(denwen)=炎の身体を持つ巨大な蛇で、死したファラオの魂によって倒される、旱魃、混沌、破壊的な自然の力の象徴)の影響も示唆されている。

以下はアラビア語から「蛇」の意味で伝播した。

  • 南セム諸語

    • 西方

      • エチオピア・セム諸語

        • 北方

        • 南方

          • Transverse

δράκων」圏:古代ギリシア語由来

*linþawurmiz」、「*wurmiz」圏:ゲルマン祖語由来?


नाग」圏:サンスクリット語由来

Descendants[edit]

*mödöri」圏:ツングース祖語由来?

「*sāŕV-gan」圏:チュルク祖語由来?

*smokъ」、「*zmьjь」圏:スラヴ祖語由来?

Descendants

wivre」圏:古フランス語由来

ラテン語のvīpera(蛇)が古フランス語に入ると、wivre(蛇)とvipreの二重語(doublet、同じ語源から異なる形/意味で派生した語)となり、前者はやがて神話/紋章学におけるワイバーンを指す語、後者はやがて毒蛇を指す語になった。

ゲルマン語派(+アイルランド語)へはwivreから、イタリック語派へは綴りがゲルマン化したguivreから取り入れられた。

その他

フィンランド語、エストニア語

フィンランド語の「lohikäärme」は、一見すると「lohi」(鮭)と「käärme」(蛇)の合成語に思える。しかし、実際には古スウェーデン語の「floghdraki」の翻訳借用だと考えられている。前者は音声を借り、後者は意味を借りている(=partial calque)。古い綴りは「louhikäärme」で、時を経て民間で「lohikäärme」に変化した。なお、ここからさらにエストニア語の「lohe」が派生している。

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