SS 塩人(しおんちゅ)#毎週ショートショートnoteの応募用
陽が落ちた教室は薄暗く気味が悪い、いつものように窓際に立つと空気が重く感じる。校庭には誰も居ない、自分一人だけが世界で生き残っている錯覚がある。
「玲子……、こんな話を知っている? 」
お昼に友達が秘密めかして笑うと不思議な話をする。放課後の教室に一人で残っていると塩人に出会う。
「なにそれ? 」
「ソドムとゴモラの時代から生きている塩になった人よ……」
国も時代も違うのに、と笑うが真剣な表情で彼女は続ける。塩人に出会うと不幸が訪れる……、私は正体を確かめる為に一人で教室に残る。
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「玲子君……」
「いやぁぁぁぁぁ」
名前を呼ばれて振り向くと男が居る、その男を見ただけで虫唾が走る、私は手に塩を山盛りにすると容赦なくぶつけた!
「ぺっぺ、ひどいな玲子君、声をかけただけだよ」
私の天敵、敬一だ。地縛霊と勘違いした、ごめんなさいと申しわけ程度に謝る。彼の顔見ると塩まみれだ。
「塩人? 噂の原因は私? 」
誰かが教室の私と敬一を見たと思う、翌朝の黒板にハートマークの中に名前が書かれていた、不幸は訪れる……中学の嫌な思い出
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