SS 赤い爪【#桜色】 #シロクマ文芸部
桜色の爪が爪紅のように赤く染まる。
「ごめんなさい……かな……」
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こんな話があります……爪の色が変わると死ぬ。都市伝説です。発祥はわかりませんが、小学生中心に女児の間で広がりました。
「爪が紫だと一週間で死ぬんだって」
「黒だと翌日らしいよ」
他愛のない話ですが子供の噂話なんてそんなものでしょう。だから陽子ちゃんも遊びをしただけです。
「なんで給食を食べられないの」
「ごめんなさい」
「あんたのせいで怒られる」
「ごべんなさい」
トイレに連れていかれた子は背中を叩かれています。給食を残すのは罪です。先生もきつく叱ります。陽子ちゃんは憎らしく思ったのか、その子の爪をマジックで塗りつぶす事にしました。
まっくろな爪……
「うわー、死んじゃうよ」
「かわいそー」
単なるお遊びです、いつもの事です。翌日に、その子は死にました。
「嘘でしょ……」
「陽子があんな事をしたから」
子供は残酷です、次は陽子ちゃんがいじめられます。嫌がらせが続くと陽子ちゃんは、かわいそうに学校にいけません。
(ごめんなさい、ごめんなさい)
心の中で謝っても、死んだ子は戻りません。だから陽子ちゃんも死ぬ事にしました。なわとびのロープを使って、首をつるのです。
『やめてよ……』
その子は死んでいるのに陽子ちゃんには見えます。幽霊なのかもしれません。
「ごめんなさい」
『あなたのせいじゃないの、私は母に殺されたの』
「え?」
『黒い爪を見て、いきなり怒ったの。忌まわしいと言って首をしめられた』
「じゃあ……ゆるしてくれる」
『私の代わりに母を殺して、それで許してあげる』
陽子ちゃんの手が握られると、爪が赤く輝く。
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朝のニュースで事件を確認する。陽子ちゃんの爪は赤いままだった。学校にひさしぶりに行くと、トイレに連れ込まれて殴られる。
「なに、学校にきてるの」
「うわ、爪を塗ってるの?」
陽子ちゃんは、にっこり笑うとその爪で彼女たちを引き裂いた。陽子ちゃんは行方不明になると伝説として広がる。
爪が赤い子に近づくと体を裂かれる……
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