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SS 愛したい女【据え膳の猫ビーム】#毎週ショートショートnoteの応募用

「これが猫ビーム」
「はぁ……」

 白衣の美人科学者が、気弱そうな助手を見る目は飢えていた!

「主任、それで猫ビームってなんですか」
「量子チェシャ猫逆説理論を実証する新発明よ」
「それって測定器を騙す理論ですよね?」
「一般的にそう思われているけど、私は! 実証実験に成功した」

 助手は疑わしそうだったが、事実なら素晴らしい発明だ。

「それが成功すれば、人間の体と心を分離できます! すばらしい」
「ふふふ、それであなたを実験体にしたいのよ」
「え? いきなりですか」
「だって動物だと心が判らないじゃない、大丈夫よ、私も一緒だから」

 白いカプセルが二つ並んで立っている。

「この中に入ってビームを受けると、心だけが分離する」
「分離した後は?」
「入れ替わるの」

 なるほど心を入れ替える実験らしい。助手は美人科学者を信頼した。

「装置に入った? 開始するわよ」

 突然の雷のような轟音と共に猫ビームをあびるとカプセルから白い煙が舞い上がる。

「はぁはぁ、成功したわ」
「ふぅふぅ、そうですか?」

 美人科学者は、助手の体に入っていた。そう、彼女は助手が大好き、この男の体で自分を……そんなの無理! 自分を陵辱する事なんてできるわけがない。

「主任ですか? 僕の体に……なんてすてきな状態なんだ!」

 助手は美人科学者よりも自分が好きなナルシストだ! 据え膳の猫ビームのおかげで、研究室はピンクで染まる。

#毎週ショートショートnote
#SF
#据え膳の猫ビーム
#量子チェシャ猫逆説


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