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短歌 墓参り 【令和版百人一首/恋の巻/秋の部】

父と母 墓まいりに なつかしむ 家族をつくる 誓う秋空


父と母 墓まいりに なつかしむ 家族をつくる 誓う秋空

「おとうさま……」

 父は縁側で昼寝をするのが好きでした。いつもいつも寝てたような記憶しかありません。

「おかあさま……」

 母はせわしなく台所で食事の用意をしたり、お掃除をして父を起こしたりといそがしい人でした。

 私は父に似たのでしょう。ぼんやりとする事が多いです。

「帰ろうか」
「はい」

 墓参りも終わり、旦那様と一緒に東京に戻ります。大震災の後、私一人だけ生き残り親戚の家にあずけられ、つらかったですが、今の旦那様と出会ってからは幸せいっぱいです。

(生んでくれてありがとう、おかあさま)

 家族を作る喜び、また育てる喜び、平和な毎日でありますように……

 昭和十六年九月

#短歌
#百人一首恋の巻秋
#令和版百人一首恋の巻


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