SS 雨ボケ【#ボケ学会のお題】
チャンカチャンカチャンカ
チャンカチャンカチャンカ
チャンカチャンカチャンカ
ハイ!
「雨です」
「傘です」
「二人あわせて雨がっぱ」
「いやー、雨傘じゃないんですよ」
「なんで、カッパなんでしょう」
「昔バイトで誘導員してた時なんですよ」
「大変ですね」
「雨の日は傘をさせない」
「両手が空いてないと誘導できない」
「だから透明なビニールの雨がっぱをつけてました」
「あー見たことあります」
「これがまた蒸すんです」
「通気性悪そうですね」
「冬はいいんです、あたたかい」
「あたたかいですか」
「夏はもう地獄」
「そうでしょうそうでしょう」
「こんなの着るくらいなら、地獄でバイトするわと辞めました」
「辛抱できませんでしたか」
「するとね、翌日に電話が鳴るんですよ」
「なんですか借金の催促ですか」
「ちがいますよ、鬼から電話が来たんです」
「鬼から、そらめずらしいですな」
「用件を聞くと地獄でバイトしたいと聞いたから連れて行くと」
「強引ですな」
「いきなりドアがバタン開くと鬼が入ってきて」
「怖いですな」
「むんずと首をつかまれて子猫みたいにつれていかれました」
「そら災難ですな」
「地獄ですよ、まさに地獄の光景が広がってます」
「そら地獄でしょう」
「八大地獄というくらいにあちこちでバイトしてました」
「何してたんですか?」
「亡者の誘導ですよ、あー君は舌を抜かれるからこっちね、あーだめだめ、君はそこの煮え立つ糞尿の池に入って」
「誘導員ですか」
「亡者もいいかげん責め飽きてますから、たまに違う責め苦がいいとか駄々をこねるんですよ、大変でした」
「なんでも馴れるとだめですね」
「でも熱いんです」
「そら地獄だから熱いでしょう」
「こんなに熱いなら、天国で昼寝したいとバイト辞めましたわ」
「辛抱できませんでしたか」
「そしたら次の日にね」
「天国から電話来ましたか」
「あんたは仕事が続かないから、天国では雇いませんとお祈りされました」
「なんでやねん!」
「天国だけに、お祈りされました!」
「落ちてないがな!」
チャンカチャンカチャンカ
チャンカチャンカチャンカ
チャンカチャンカチャンカ
ハイ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?