妖怪笑い話 雪ん子 【#ボケ学会のお題】
男の子が真夏の道を走る。
「アイス、アイス」
駄菓子屋の白くて大きな冷菓容器にかじりつくと、透明なガラス板の奥で女の子が寝ていた。
「大変だ!」
「大丈夫よ」
中からガラスフタを開けると、水色の棒アイスを渡す。
「50円!」
「あ! はい」
ガラスフタがしまると、女の子がまた寝そべった。びっくりした男の子が駄菓子屋のおばあさんの所に駆けよった。
「おばあちゃん、女の子が寝てる」
「ああ、バイトで雪ん子を雇ったんだよ」
「雪ん子?」
「冬のオバケだよ」
くるりとふりむくと、顔がのっぺらぼうだ!
「そうなんだ、バイトなんだ」
男の子は顔の真ん中にある大きな一つ目をくるくるさせながら、サイダー味のアイスを楽しむ。
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