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雑多な怪談の話

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雑多な怪談話を入れます 写真は https://www.pakutaso.com/20170603152post-11830.html を利用しています
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#短編

SS ほんの一部スイカ#毎週ショートショートnoteの応募用

 真夏のスイカ畑を歩く、朝に収穫すれば良かったと流れ落ちる汗を拭う、白く細い腕は大きなスイカを抱えるのが難しく思える。 「ねえさん、またスイカ?」  ふわっとした細い髪の毛はやわらかい、弟は私に甘えてくると顔を胸に近づける。もたれかかる頭をやさしくなでた。私が愛しているのは弟かもしれない。体のどこかに波のような熱さを感じる。体感できる夏とは別の熱さだ。 「徐々に脳の一部が萎縮をしています」  若いときに発生した難病は、脳の機能にダメージを与える、長生きは出来ないと言われた

SS 顔自動販売機 #毎週ショートショートnoteの応募用

 曇天のドライブインに古びた自販機がある。錆だらけの販売機は一つだけ。 「顔自動販売機? 」  何が売られているのか判らない、自販機の全面に銀色のシールが内側から貼られている。何が買えるのかわからないが、好奇心で小銭を出す。 「百円かぁ……」  子供用のお面だろうと思う、ウルトラマンや仮面ライダー、夜店にあるセルロイド製の安いお面。懐かしい、子供の頃を思い出す。 「あんた! 何しているの? 」  ギスギスとした声で俺を呼ぶ、不機嫌な嫁と退屈そうな子供たち。俺は自販機に小銭

SS ふりかえるとよみがえる #毎週ショートショートnoteの応募用 【グロです注意】

今日は分陀利地獄の当番だ。俺はいろいろな地獄を回りながら仕事をする。「亡者を責めるのも飽きたな」鬼でも同じ事の繰り返しは飽きる。無限の時間を使い亡者をいじめ抜く。それが仕事だ。分陀利地獄は頭を割って脳みそをへらで綺麗にそぎ落とすのが仕事だ。仕事が終わると俺がふりかえるとよみがえる。亡者を捕まえて同じ事をする。 亡者の頭を爪のある手で鷲づかみにする。頭を片刃の刀で丸く切る。頭蓋骨をむき出しにしてノコギリで切るのだ。その間は亡者は目鼻から血を噴き出しながら泣き叫ぶ。たとえば読者