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雑多な怪談の話

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2024年6月の記事一覧

SS 南米での出来事【友情の総重量】#毎週ショートショートnoteの応募用(800文字位)

 いつものように古い喫煙室でタバコを楽しむ。薄暗いランプの下で紫煙で広がる。まるで霧のように漂う中を一人の男が近づく。 「やぁ、調子はどうだい」 「南米の鉄道事業は失敗した」  彼を友人と呼べるなら友人なのかもしれない。たまに金を出して支援してくれるが、金を儲けたいようには見えない。 「今日も、話を聞かせてくれ」 「ああ、そうだな『友情の総重量』の話をしようか……」  自分も下見で南米に行く事はある。やはり眼で見ないと判らない。その時は幼い頃からの友人と南米の奥地に行

SS 新しい母【#雨を聴く】シロクマ文芸部参加作品 (870文字位)

 雨を聴くと心がおだやかになる。心音のように規則正しく地面を叩く、ザァザァザァ、血液が体を流れる音と同じだ。 「かずみぃ」 「なぁにぃ」  ザァザァと心音がする。母は階下から私を呼んでいる。ゆっくりと台所の母に会いに行く。父と母が座っていた。 「かずみ」  父が沈痛な顔で私を見ている。 「父さんは再婚するよ」 「……そうなんだ」 「部下の女性なんだが、とても家庭的なんだよ」 「うん……」  母は黙ってうつむいたままだ。 「それでな、お前が学校を卒業した後に籍を入

怪談 彼の罪 【てるてる坊主のラブレター】#毎週ショートショートnoteの応募用(600文字くらい)

 夕暮れになると弟を思いだす。警察は自殺で処理した。  だから私は復讐する。 xxx 「また死んだよ」  幼なじみの彼氏がうつろな眼をして私を見る。同い年の遊び友達は、みな死んだ。 「どうしてだよ、なんで死ぬんだよ」  死体は異様で頭からシーツをかぶって血まみれになって吊るされていた。警察が警戒していても納屋や庭の木で吊るされた。 「ねぇ、弟が死んでから事件が始まった……」 「……お前の弟は関係ない」  おびえた彼は、飢えた眼で私を見る。生存本能だ、死が近いか