SS お狐娘【祈願上手】#毎週ショートショートnoteの応募用(650文字位)
たまにお狐娘の長屋に人が来る。父親が易者だったので頼み事をしたい客だ。
「そうですか、お父上はお亡くなりに……」
「私は占いができませんので」
でっぷりと太った男は眼をうつろにさまよわせる。彼は呪われている。
「なんとか助けていただけないでしょうか」
「祈願祈祷したいと?」
「はい」
「これに名前を書いて」
自分の名前を書かせて、それを小さく折りたたむ。それを、別の紙で作った『やっこさん』の中におさめる。
「これを家に置いて、そのまま旅立ちなさい」
「はぁ……