SS 明日がある 【卒業の】 #シロクマ文芸部
卒業の時が来る。あたたかく甘いほうじ茶を口にふくみ、こたつで足を伸ばす。
「清美、学校に行く時間よ」
「もうちょっと」
「本当に遅れるから」
母が眉をひそめる、ぐずぐずとなんでも先のばしにする娘に手を焼いていると思う。自分でもなんで、こんなに腰が重いのかわからない。
(だって今の状態が好きなんだもの)
猫がこたつから顔をだす。茶トラの頭をなでながら至福の時を満喫する。
「ミー子は、学校いかなくていいよね」
「いい加減にしなさい!」
ぐいっと腕を引っ張られる