SS 約束【#雨の七夕】#青ブラ文学部参加作品(1400文字くらい)
川が増水したのか水が濁っている。思妤は、ものうげに川面を見つめる。雨の七夕は、湿気も多く憂鬱に感じた。
「思妤、することがないなら針仕事でもしな」
「あぃよ」
ごうつく婆は、遊郭の女が暇そうにしているのが許せない。渭水の対岸は長安で、船で遊びに来る客が多く繁盛していた。
(あいつ来るって言ったのに……)
星宇は、思妤のなじみの客で、牛の売り買いで財をなしていた。若く聡明な彼は、彼女を見受けをすると誓いを立てた。
(嘘の約束なんてしなくても、金もってくれば……)