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雑多なSF設定

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SF設定の小説を集めます ・ケモナーワールド ・ジェリービーンズ ・猫探偵
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2024年1月の記事一覧

SS つっこみ【お題:何でやねんっ!】

 銀色のどら焼きみたいな円盤から出てきたのは、緑色の宇宙人だ。 「これが、ファーストコンタクトか」 「まるで初デートのようにドキドキします」 「なんでやねん!」  政府高官が、軍高官に突っ込む。  タラップから降りてきた宇宙人は、二本足で二本の腕がある。宇宙人は手を水平にして、喉にあてる。 「ワレワレは、宇宙人だ」 「なんでやねん!」  地球人側が突っ込むと緑色の宇宙人は舌を出して、ほっぺに指をあてる。 「えへへへっ」 「なんでやねん!」  緑色の宇宙人は、急に

SS ドローンの課長 #毎週ショートショートnoteの応募用

 蒼穹には何も無い。ただ青く下方に雲が広がっている。何も無い空を飛ぶのは気持ちがいい。 「ドローン課長」  新人のアシスタントは親しみを込めて愛称で呼んでくれる。自分もそう呼んでくれると嬉しい。怪我をした顔は、プラスチックのマスクでおおわれている。趣味がドローンの課長は、気さくで好かれていた。 「UAV(無人航空機)のテストが始まります、チェックしてください」  航空自衛隊を辞めて、民間の研究施設で勤務をしている。テストパイロットだった私は事故で二度と飛べないと思ってい

ゲームの彼に恋したら【坊ちゃん賞 落選記念作品】

 好きな人とつきあえるなら何もいらない。私は文芸部で漫画を描いている少しだけ大人しい女の子。 「瑠璃、できそう?」 「文化祭までには余裕」 「あんたゲームの彼が好きだもんね」 「最高の推しよ」  ソシャゲの彼を愛でる、イベントで彼が登場するだけではしゃいでしまう。彼の設定を深く読み、誰よりも理解する。そんな蜜月は長く無かった、サービス終了でプレイできない。 「ソシャゲはサービス停止したらプレイできないのが欠点」 「課金したんだけどなぁ」  そんなことはない。漫画にして

SS 怪人制御冷や麦 #毎週ショートショートnoteの応募用

 うだるような四畳半で寝そべりながら、扇風機の生ぬるい風にあたる。 「大家も冷房くらいつけてくれよ」  怪人修行で五年目だ。オーデションに受からない。バイトしながら悪の組織に入るんだと頑張っていた。 「君は特徴ないからね、君はカニ怪人だっけ? 造形がありふれてるからねぇ」  別にカニでもいいだろうと思う。カニ怪人とか子供にも受ける。殻は固いしハサミは格好がいい。スターになれると思った。 「おい、暇か?」 「することない」  相方のテナガエビ怪人がドアを開けて、熱気

SS タイムスリップアレルギー #爪毛の挑戦状

 気がつくとタイムスリップをしている。医者からは一種の記憶障害と診断された。実際に経験しても、実体験をしたように感じない。 「タイムスリップアレルギーですね」 「なんでそんな事が……」 「記憶の連続性が希薄に感じる、忘れっぽいと考えてください」  精神科を出て薬局で薬をもらう。記憶喪失とは異なり、思いだせるのに他人事だ。夜に寝て、朝に起きると三日くらい経過している。 「昨日は……計画書を作ってたか……」  会社で仕事をしていても、仕事の内容は、覚えているのに仕事をした