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雑多なSF設定

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SF設定の小説を集めます ・ケモナーワールド ・ジェリービーンズ ・猫探偵
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2023年12月の記事一覧

SS ルールを知らないオーナメント #毎週ショートショートnoteの応募用

 青い宝石の中で白い星に見える傷が無数にある。それがまるで銀河の恒星にも感じた。 「この白いものはなんですか?」 「ホウ素らしい……不純物が含まれている」 「それで複雑な輝きになるんですか……」  白衣の助手が拡大鏡の用意をしている。ふと助手がつぶやく。 「これが呪いの宝石……」 「そんなものは存在しない」  鑑定を頼まれた教授は、そろそろ二十世紀にもなるのに、呪いの話をされて不愉快に感じた。  彼の新案特許の『光学式増幅拡大鏡』は、とてつもなく微細に観察できる。レ

SS 終わりの日1 台にアニバーサリー #毎週ショートショートnoteの応募用

「ありがとうみんな、さようなら」  演舞台で彼女は、ほほえんでいた。幸せそうな彼女は不幸だった。 「なんなんだ、不公平だよ」  彼女は俺の推しだ。二周年記念のステージで、難病を告白する。  演舞台にアニバーサリーステージの垂れ幕も華やかだ。みなが祝福する最高のステージになるはずだった。 「なんでだよ……」  彼女は闘病のために引退をするが、長く生きられないと判っていた。推しが死ぬ。それだけで俺は絶望する。 「どこかに神様いねえのかよ……」 「いるよ」  ふと顔をあげ

SS 優先席の微世界先生 #毎週ショートショートnoteの応募用

「3年B組、微世界先生!」  微世界先生は小さい。しかし誰よりも大きかった。 「人間ってのは、人と人が支え合うから人間なんだよ」 「微世界先生は、人じゃありませんが?」  教壇の上に水槽がある。そこには脳培養をしたマイクロ脳の微世界先生が浮かんでいた。赤ん坊の時に体が損傷して壊死したが、脳だけ取り出して活動している。  横柄で攻撃的な女の子がいれば 「立派な人になるより、友達になれる人になりなさい」  自分が不幸だと思う男の子がいれば 「幸せはどこかにあるわけじゃな