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雑多なSF設定

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SF設定の小説を集めます ・ケモナーワールド ・ジェリービーンズ ・猫探偵
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2023年7月の記事一覧

SS 半タライのウッキーゲーム#毎週ショートショートnoteの応募用

「この世界には、タライと反タライがある」  美人で巨乳だけど異様な研究ばかりしている科学者の神宮寺咲は、いつもの妙な思考実験中だ。もっとも私が居なくても自問自答をしている。 「粒子と反粒子みたいな感じですか?」 「似ているが違う、タライは洗うが反タライは汚す」 「……意味が判らないです」 「マクスウェルの悪魔と同じだ、私たちは猿のいたずらと呼んでいる、今の洗濯機は反タライだ! 」  洗濯は衣服の汚れを取り除くが、同時に地球環境は汚れる。マイクロプラスチック問題だ。衣服から

SS 立方体部 #爪毛の挑戦状

 私は立方体を抱えて走る。この中に私の赤ちゃんが居る。 xxx 「私の子供は? 」  夫が悲しそうな顔をしている、もう自分にも判る。赤ちゃんは天に召されている。泣きたいのに漠然と現実を認識していない。 「それで頼みなんだが……」  夫の言葉を始めは理解できなかった、赤ちゃんを生き返らせる? 違う、赤ちゃんはまだ生きているが脳細胞に深刻なダメージがある、生命維持装置を外せば死んでしまう、だから……脳細胞を今なら生きたまま採取できる。 「まだ死んでないんでしょ?」  夫は

SS 壊れたロボット【男の子&瞬間接着剤&夏祭り】三題話枠

 夏祭り、その華やかで心が躍るイベントに僕は楽しみにしていた、でも祖母の具合が悪いので両親は参加できない。 「一人で行くよ」  両親と一緒に訪れた田舎は、もう村人が少ないのかさびれて見えた。出店もある、風船釣りや金魚すくいや綿飴に、少ないが子供や若い男女が楽しんでいた。僕はその雰囲気だけで十分だ。何を買うわけでもなく見て回る。 「おい、お前はどこのもんだ? 」 「○○から来たんだ」  僕と同じくらいの子供達が寄ってきた、外から来るものは敵だと言わんばかりの排他的な態度は、

SS ハナ大増殖 #爪毛の挑戦状

 金木犀の香りがする、甘いような濃厚な臭いはむせる。あまりに強いので口で息をする。 「なんだ? 芳香剤でもこぼしたのか? 」  ベッドから起き上がり窓を見ると外がオレンジ色だ。窓に近寄ると臭いがきつくなる、外がハナで埋まっている。  テレビをつけるとニュースキャスターが「ハナ大増殖」を連呼していた。地球温暖化の影響を報じていたが、どうやら大陸側で実験を失敗したらしい。 「金木犀にクマムシの遺伝子? 」  人間の細胞にクマムシの遺伝子を入れて、耐久性を確かめられたと怪し

SS 永久には動きそうもない、B級機関だった。#ストーリーの種

「ここがA級機関調査室だ」  薄暗い蛍光灯の下で数人がだらけている。モニターを見ているようでゲームに夢中な職員や爪を磨いているOLが居る。自分が配属されたのは、永久機関を審査して調査をする部署だ。つまりリストラ対象の職員部屋だ。 「何をすればいいんですか?」 「調査対象のメールが来たら動かないとテンプレメールをする」  永久機関は、外からエネルギーを与えないで動作をするシステムで物理学的に存在はしない、もし存在するならばそれはA級と呼ばれて登録される。現実には動かないB級