TVドラマ雑記『ドクター・フー』

　どの国にもご長寿番組というものがある。日本には『相棒』、アメリカには『ＬＡＷ＆ＯＲＤＥＲ』、そしてイギリスにはドクターがいる。エキセントリックな宇宙人の冒険を描く『ドクター・フー』は、作り手たちの秀逸なアイデアよって、地球と宇宙、内と外へ同時に関心を向けさせる楽しさ満載のＳＦドラマだ。
　各話の脚本の上手さに負けず劣らず、シリーズの魅力となっているのが主人公ドクター。特殊な体質を持ち、致命的な怪我などによって「姿かたちが激変する」。水谷豊の相棒よろしく、演じている俳優が世代ごとに変わるのだ。だが顔や性格が違っても、あくまで同一人物。でも勇敢さやスタイルはそれぞれ違う。時代ごとに更新されていく価値観がドクターを進化させ、ファンはそれぞれのドクターに愛着と尊敬をもつ。歴史あるシリーズはどのシーズンから始めるかを見極めにくいが、今作はまず各俳優の好みで判断すればいい。
　１２代の間男性だったドクターも、今は女性。容姿や性別を超え、不変のカッコよさを発揮するドクターの冒険は、ＢＢＣがある限り終わることはない。
　　　（『ドクター・フー』はＨｕｌｕ・Ａｍａｚｏｎプライムで配信中）