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観光とは、現地の人の生活に無遠慮に足を踏み入れることなのかもしれない。

ちょっと雑記に近い話なので、サイトのブログではなくnoteにつらつらとまとめようと思います。

先日、まいまい京都で瀬戸内海の家島に行ってきました。

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そりゃーもう、とても素晴らしいところでした。姫路港から船で約30分、穏やかな小さな港に到着して、島のガイドさんとぶらぶら街歩き。小さなお店を冷やかしたり、今に残る井戸を見ていたら近くのおばちゃんがふらりと出てきて昔の話をしてくれたり、あちこちにいる人懐っこい野良猫の写真を撮ったり。係留されていた小さな漁船に乗って、漁師のおじさんに明日市場に持っていくという魚を見せてもらったり、島の絶景を楽しんだり。

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だけど、そんな旅をすると、楽しいけれどもときどきちょっと後ろめたい気持ちになるんですよね。

というのが、こういう旅行や、地域の生活を垣間見る暮らしって、一歩間違えると他人の生活圏に土足で踏み込むようなものになりかねないんじゃないかと思うのです。

私は京都で生まれ育ちました。

京都の人は、観光については、行くだけでなく受け入れる側でもあります。しかも、京都は世界でもトップクラスの観光地。今年に入ってからはコロナ禍でめっきり人も減りましたが、その前はオーバーツーリズムの問題などに直面してきたわけです。

去年の今頃なんて、人が多すぎて日常生活もままならない、というケースもありました。とにかく、バスも地下鉄も鉄道も、道そのものが混むんですよ。せっかくの行楽日和の日に、いえ、行楽日和だからこそ出かけられない、ということもあったんです。

観光客といえば聞こえはいいですが、京都の人にとっては「よそさん」です。よその地域の人。なんか遠くからわざわざやってきて、あちこち見て写真撮って帰っていかはる人。なんかうちの町内がいい感じだからって勝手に写真バシャバシャ撮っていかはるの、なんかかなんなあ、みたいな(実際、観光客が喜んで記念写真撮りそうな感じのおうちの前には写真お断りみたいな張り紙があるのも珍しくない)。

だけど、この「よう知らん人がわざわざ遠くからやってきてあちこち見て写真撮って帰っていく」「その地域の人の暮らしに一瞬『よそさん』が入り込む」というのは、観光の本質なのかもしれない、と思うのです。美しい風景同様、その地域に根ざした独自の生活スタイルや人々もまた、観光資源たりうる。

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だけど、そうである以上、一定数以上の観光客の受け入れは地元の人にとってストレスにしかならないんですよね。

京都は観光の街なんだからそれっくら我慢したら?という人もいるかもしれません。だけど、京都って実は工業、ものづくり主体の街だったりします。

京都市の経済 2019年版」の「表Ⅰ-1-3 市(国)内総生産の構成比」を見ると、京都市の総生産の24.0%は製造業。観光業というくくりはこの表にはないのですが、たとえば宿泊・飲食サービス業は3.7%にすぎません。卸売・小売業で12.0%。このすべてが観光客向けだとしても(まあそんなことはないでしょうけど)15.7%。製造業の数字にはまだまだ及びません。

それに、京都にこれだけ人が来るようになったのはつい最近の話なんですよね。平成29年度の京都観光総合調査を見ると、外国人宿泊客数は平成26~27(2014~2015)年で激増しています。宿泊客全体では、平成24~25(2012~2013)年、平成28~29(2016~2017)年にぐんと伸びています。

急激に観光客が増えてからまだ10年も経っていないんですよ。受け入れる地元の人も心の準備ができないし、なんやこれと驚きうんざりするのもむべなるかな、なのではないかなあと。

で、話をちょっと京都から離しまして。

家島で、カメラを町並みやそこで暮らす猫、人(なるべく私は人は撮らないようにしているのですが)に向けているときに、こんなことをふと改めて思ったんですよ。この島は、風景も人も猫もみんな心地良い。居心地いいし、いい被写体にもなる。いわゆる「映える」。

だけどその心地よさや映えは、同時に島の人や猫の生活にちょっと足を踏み入れているからこそ、逆にいうと、足を踏み入れることを許してもらっているからこそ楽しめるものなのではないか、と。

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そう考えると、観光に行く際は、心のどこかで、現地の人たちの生活に足を踏み入れさせてもらっている感謝や遠慮は持っておいたほうがいいのかなあ、とも思うのです。

ちなみに、まいまい京都さんはこういう日常に踏み込むツアーをよくされているのですが、その日常に踏み込んでいく意味をよくわかっていらっしゃるように参加者の一人として思います。ツアー先の魅力を、慎重に丁寧に、相手方に敬意を持って踏み込んで紹介する企画やガイドさんが多いんじゃいかなあと。参加者の方にもそういう方が多いように感じていて、いつも気持ちよく参加させてもらっています。

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ということで、家島ツアーを通じて「観光」について感じたことをつらつらとまとめてみました。あまりしっかりした記事ではないですが、ちょっとした備忘録のつもりなのでこれでいいや。

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