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Half time Old「アウトフォーカス」という歌

せめて3日坊主をしようと書いていきます。

今日も最近ハマっているHalf time Oldについてです。

聴けば聴くほど魅力的な日本語の紡ぎ方に、素敵だなぁと思います。

私は普段はクライアントに依頼を受けた文章を書く仕事をしているため、自分の好きなことを好きなように書く文章というものに慣れておらず、たったこれだけのnoteでさえ楽しいような、自由の不自由を感じます。

「アウトフォーカス」という歌

「AbemaTV」にて生中継される「プロ野球・横浜DeNAベイスターズ主催の公式戦(全72試合)」テーマソングに収録曲されたそうで、野球好きな人にも知っている人が多そうですね。

この歌詞は私は冒頭が好きです。

感動のドラマに毒され
現実と比べては不貞腐れ
甲斐性なしのレッテルを貼られ
疲れ切った心でさ

ーHalf time Old「アウトフォーカス」より引用

めちゃくちゃドキッとしました。小説やマンガなどが好きですが、現実では期待通りのお約束ごとも、歯が浮くようなセリフをいただくようなことはありません。勝手に期待しては裏切られたと嘆き不貞腐れる気持ち、すごくよくわかります。

もちろん自分も小説やマンガのようにうまくできるわけでもなく、自分に甲斐性なしのレッテルを貼って卑屈になったりします。

改めて指摘されると、心が忙しいだけに思えますね(笑)

生きてる価値などは知らない
ただ食って眠るために働け
そこに守るべきものなどいらない
悟ったような人々

ーHalf time Old「アウトフォーカス」より引用

これを20代の彼らが紡いだとしたら、いったいどんな背景があるのか気になるところです。

私は現在アラフォーと呼ばれる年齢層ですが、私たちの年代にはこれが最も当てはまると思っています。

幼少期にバブル景気が起き、多感な中高生の頃、バブルが弾けました。生きるためには働かなければならない(守るものはあったとは思いますが)食って眠るためになりふり構うことができない大人を沢山見ながら、大学を卒業し、社会に出たら社会は私たちを歓迎してくれませんでした。(いわゆる就職氷河期ですね。)

今の20代が悟り世代と呼ばれるようですが、その20年も前の私たちもそれはそれで悟っていました。働く理由は食って眠るためだということを。一歩でも踏み外すと”普通に食って眠ることができる生活”に戻ることはできなかったのです。

泣いているのか
それとも怒っているのか
感情の置き場は用意されてないけど

ーHalf time Old「アウトフォーカス」より引用

感情なんてものに振り回され、転落していくわけにはいかなかった。それが私たちアラフォーの青年期です。

普通が一番の異常だ
憧れとは一番の他人だ
自然が一番の演技なら
生きるとは死ぬことか

ーHalf time Old「アウトフォーカス」より引用

普通とは異常です。小さい頃から普通と信じていた”学校を卒業したら就職して結婚して、子どもを持ってお家を建てて…”そんな普通が異常な努力と幸運の上に成り立っていることを突きつけられた世代かもしれません。そしてバブル期にそれらを手にしていた憧れの大人たちは、あっという間にそれを失っていたことも普通を手にし続けることの異常さを感じさせた一因だったと思います。

だからこそ、この後に出てくる詞がとても心にくるのです。

未来を天国や地獄に例えるようなこと
僕は何年経とうがしたくはないんだ

ーHalf time Old「アウトフォーカス」より引用

私たちを歓迎しなかった社会が作ろうとしている未来なんて天国でも地獄でもない。そんなふうに表現しないでほしい。使い古された天国と地獄という二極化された未来に向かいたくないのです。天国でも地獄でもない、私の作る未来、一か八かに例えられるのは不愉快でしかない。

実際にはロストジェネレーション、失った世代、となかったことにされた世代ですけどね。人の人生、勝手に失ってんじゃねーよ(笑)

世代で考えは違うのだろうけれども

きっと、私の解釈はこの詞を書いた方とは違うと思います。勝手な妄想全開ですから。

それに世代も違うし、生きてきた社会背景も異なります。

ただ、私たちの世代の多くが必死に掴んできた”普通”を”異常”とひとまわり以上も違う若い世代が捉えてくれたことは、共感と共にチクリと刺す針のような気持ちになりました。

普通に生きることは実は簡単ではない、ということが世代を超え今も若者の心にあるとしたら、それは私たちの世代が普通を普通にしてあげられる道を作ってあげられなかったのかもしれません。まぁ私に何ができたのかと言われるとミジンコほども力はないのですが。

普通の人が普通に生きる、ただ食って眠るために感情に蓋をする社会でない未来が来るように、せめて我が子たちが生きる社会はそうであって欲しい、そのために大人になった私に何ができるのだろうか、そんなことを考える歌でした。

あーしかし、これだけの世界観を自由に表現する語彙力と表現力が本当に素晴らしいなぁ。






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