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エッセイはじめました <眉間チェック>

 私は読書が趣味で大体年に百冊ほど本を読むのだが(それが多いのか少ないのかはよくわからない)、本が好きなのはいつからだろう?と考えると小学生のときにはもう読書を趣味としていた気がする。

 私は読書をしているとき、ふ、と眉間が気になるときがある。そして恐る恐る眉間を触り、それを確認する。


 ときは私が小学五年生のときにさかのぼる。その頃から私は本の虫で、担任の先生からは「お!今村、里見八犬伝読んでるのか!滝沢バキーン!」と謎のギャグを披露されて笑ったりしていた。

 そしてその日、私が読んでいたのは東野圭吾の「秘密」だった。ここで話は逸れるが、私は小学生の頃から東野圭吾を読んでおり、しかし作品は「秘密」「片想い」「手紙」などで、なぜかかの有名な「ガリレオシリーズ」は頑なに読まなかった。特別東野圭吾ファンというわけでもないので、ガリレオシリーズはいまだ読んだことがない。


 閑話休題。私が秘密を読んでいると、またしても担任から声がかかる。「○○のシーンまでいった?」担任は本の秘密を読んだことはないものの、ドラマを見たらしい。ドラマもやってるんですか~などと話したあと、級友が私のもとにやってくる。
「風子ちゃんって、いっつも難しい本読んでるよねー」
「?? そんなことないよ、おもしろいよ」
「だってそれとってもぶ厚いし、それに……


風子ちゃん本読むとき、眉間にしわ寄せてすっごい難しそうな顔してるもん!!!!!怖いよ!!!!!」


ええええええええーーーーーーーー!!!!!!!!
ショックであった。そうか……私は怖い顔をして本を読んでいるのか……。


 それからというものの、読書の最中は本の内容に集中しながらも時折眉間のチェックをする。もう今はその悪癖はほとんどないが、小学五年生の指摘を受けた当時は気をつけていないと眉間にしわが寄ることは多々あった。


 指摘を受けたときはとんでもないショックでショック死寸前だったが、いまは、あのとき指摘してくれた人がいてよかったなあと心から思う。指摘してくれた級友が誰なのかはさっぱり思い出せないが、いま私が健やかに読書を楽しめるのはあなたのおかげだよ。と心の中でお礼を言う。

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