エッセイはじめました <金欠時必殺奥義>
お金がない。ここ最近では一番のお金のなさである。今ちょうど、バイトを辞めて新しいバイトに移る時期で、以前のバイトは微々たるお給料しか入らず、新しいバイトはまだお給料が払われないという危機的状況なのである。
そこで私は金欠時の必殺奥義を出すことにした。「ブックオフ」だ。
子どものときから本の虫で活字中毒の私は蔵書数も少なくない。小説、新書、エッセイ、歌集、漫画に雑誌。そのなかにはもう読まないと思われる本も混じっており、私は金欠になると本棚の片付けと題して本を売りに行くのだ。また、たまにそのなかに幾枚かのCDが道連れになるときもある。
今回は漫画を中心に売ることに決めた。机上の漫画棚が大変なことになっているからだ。しかし、いざ漫画棚を見上げると売りに出せる本がない。私は好きな作者さんで蒐集する癖がある。浅野いにおさんと岡崎京子さんの漫画はなにがなんでも売らないことに決めている。仕方ない。今日マチ子さんを売るか……いや、あれもこれも手元に置きたい。じゃあ松本大洋さんか。待てよ。これはまた読むかもしれない。そうなったら魚喃キリコさんか。いや、これもこれも好きな作品だ。むむむ……。
白状しよう。「これは読むかもしれない」と言った本の半分は、おそらく読まない。しかし、好きな作者さんの漫画はすべてそろえて手元に置いておきたい、という謎のコレクター心情がはたらいて私はどの本も売ることができないのだ。浅野いにお……岡崎京子…今日マチ子…魚喃キリコ……松本大洋……古屋兎丸…宮崎夏次系……つげ義春…志村貴子……。とうなされ、涙を流しながらなんとか数冊を手放す決意をする。
そこに、本棚の肥やしになっている文庫本と埃をかぶったもう聴かないCDを足す。これで500円にはなるだろう。売りに行く前にふと今の所持金が気になり、お財布を開く。……ん?これは……。そこには先日ブックオフツアーをしたときにもらった「ブックオフ9・10月買い取り価格20%UPクーポン」なるものが入っていた。うおおおお!!!!!すぐに売りに行かなくてよかったあああ!!!
9月1日は幸いノースケジュールデーである。本とCDでパンパンになったリュックを背負ってブックオフに行く予定だ。
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