夢喰いメリー

僕がオタク全盛期だった頃、アニメにおいて「きらら枠」と呼ばれるくらい、まんがタイムきらら系列の作品がアニメ化されて固定の支持層がいた。
大体はふんわりと柔らかめで緩い作品、日常系が多い印象なのだが、レーベルによって差別化されている。
「夢喰いメリー」はアクションファンタジーといったところで、絵柄は可愛いが少年誌のような超常バトルが格好良く、周りの評価はイマイチだったが僕は好きだった。

評価が低い理由は単純明快で、アニメはオリジナルの展開が正直つまらない。
作中で重要な立ち位置であり人気もある最強格の敵・エルクレスの影が如何せん薄い。
連載中ということもあってオリジナル展開は仕方ないのだが、少なくとも原作ファンが納得するものでは無かった。
制作は安心と信頼のクオリティーで評判のJ.C.STAFFであり、実際にアニメとしての品質はとても良く、原作も作品に個性があってキャラも立っている。
故に、アニメ版はガッカリ度が高いのだ。

ここからは原作の話になるが、原作はきらら系列の作品の中ではブッ千切りに面白いと思っている。
どのキャラクターも可愛いビジュアルに美味しい癖が詰まっていて、コメディーもテンポが良く、シリアスとの配分も綺麗に整理されている。
アクションシーンは迫力も臨場感も文句なしの大絶賛だし、アクションシーンなのにコマ割りが読みやすい。
カバー裏まで凝った作りがしてあって、新刊が出る度にとても楽しみにしていたのを思い出す。
僕はマンガは20巻より長い作品は基本的に評価が下がるのだが(ダレたり無駄が多かったりするから)、「夢喰いメリー」は巻数が多いのに数少ない僕のお気に入り作品だ。
10年以上連載が続いていたから、僕だけに刺さっているワケじゃないと思う。

主人公・夢路とメリーのボーイミーツガールで始まる序盤は日常と非日常が明確に分けられていて、「灼眼のシャナ」のように知る人と知らない人がいる構図になっている。
記憶を探している内に主人公と線が繋がったりしていく構図は「エルフェンリート」を思い出したりもしたのだが、そこにしっかり味方の陣営と敵の陣営が存在し、幹部を倒しては宿敵・エルクレスとの決戦を迎え、その先により強大な敵が……という少年誌のお約束もある。
昨日の敵は今日の友という王道の胸アツ展開もしっかりある。
しかもただ次の敵、次の敵……と出てくるワケではなく、それらがやがて点と点で繋がるのが良いし、夢路というキャラクターが繋がらない点を拾ってくれるので、バトルのクライマックスは脳髄が焼き切れるようだ。
「夢」をテーマにしているから、アクションにありがちな主人公無双もそこまで臭みがないし、睡眠時の「夢」と目標や理想である「夢」を敢えて同軸にすることで物語にカタルシスもある。

少年誌的なアクションファンタジーなので、読んだからといって何か考え方に影響を受けたとかそういうのは正直無い。
僕の傾向としてはそういうのがある作品を評価するのだが、いやいやエンタメとしてのマンガも好きだよと論ずる時に取り上げている。

アニメで切った人は騙されたと思って原作を読んで欲しい。

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