からかい上手の高木さん

初々しいカップルや将来的にそうなるであろうカップルのラブコメが体感増えた気がする。
SNSで単ページもしくは数ページの短編マンガでもワンテーマで描かれていたりして、みんなそういう甘酸っぱいエピソードが好きなんだなぁというか、多分これが中高生の恋バナってヤツなんだなぁと思ったりする。
「からかい上手の高木さん」(以下「高木さん」)は、そういった類いの作品では最大手の一つだ。
SNSにあるような落描きレベルで付けられたものも含めて、それこそ星の数ほどあるテーマの中で、アニメ3期に実写化、続編的作品や一応のゲーム化と展開が多い。

他のこの手の作品との違いは何だろうか。
ヒロインの高木さんは特別目立つビジュアルでもないというか、絵柄がかなりデフォルメの強い絵柄なので、キャラクターのビジュアルが人気というものでは無さそうだ(高木さんが可愛い可愛くないという話ではなく、デザインの話)。
僕のイメージの話ではあるが、主人公の西片もあまり主人公らしさは無いというか、特別カッコいいキャラクターとしてデザインはされていないし、高木さん同様に他の作品のキャラクターと並べるとビジュアルも特に魅力的では無い。
でも、何だかそれがリアルな恋バナをしているような感じに繋がっているのは何となく分かる。
本人にしか分からない魅力というか、「え〜、アイツのドコがいいの〜?」みたいなのが現実では無かろうか。
創作にありがちな「クラスのマドンナ」とか「みんなの王子様」みたいな美男美女や人気者って実はそう居ない気がする。
し、恋敵にならないからこそ友人の一喜一憂を見て面白がったり、悩みを相談出来たりするのではないか。
自分も同じクラスにいる没入感としてはそれが一番大きいような気がして、自分も高木さんや西片たちと同じクラスにいるモブ生徒Aぐらいの気持ちで見ていられる。

同じ考察で行くと、エピソードも全然特殊なものではなく、そして日常の些細な出来事が中心なのもそういった部分に拍車をかけている。
大きなイベントとして夏祭りだとかそういうのはあるが、授業中の手わすら(コレ方言だったらしい)や帰り道の遊び、悪ふざけである。
空き缶を投げて入れられたら勝ちとか、なんかそれ以前に意地の張り合いの延長でのしょーもない勝負事とか、全く同じではなくても似たようなことが日常に溢れていたのを思い出す。
そんな小さい出来事の積み重ねが良い恋愛感情になるんだろうなぁと思うと、昨今の何かとすぐに性的接触を図るような作品の流行は、売れこそすれどバタフライエフェクト的に売春問題や晩婚化とかにも繋がっているような気はする。
現実と創作は別の次元に存在する世界なのだが、クチでは言っていてもアタマでは一緒になっている人は多いし、そういう僕でも無意識に同一上として認識していることも無くは無いと思うから難しい。

ただし、僕の中高生というのは恋愛より部活とモンハンで忙しかった中学時代しかないので、ここまでの考察は全て憶測でしかない。
アニメを観ている時は二人を初めクラスの恋愛事情をニヤニヤとしていたが、見終えた時のトンデモない虚無感と寂しさは他のラブコメ作品とは比較にならないほどである。
甘酸っぱい恋バナ、してみたかったよな。

推しカプは北条浜口ペアです。

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