キルミーベイベー

きらら枠ながら大コケをし、しかしネットミームとなって蘇った「キルミーベイベー」。
兎にも角にも「持っている」作品……と一見思えるが、逆境を活かすマーケティング力の結果であると思うし、元を辿れば代えの効かない中毒性のあるコンテンツ力の成せる業だと思う。

アニメ放送時は急激にアニメの本数が増えていた頃だったし、ビッグタイトルも並んでいたから、円盤以前にリアルタイムでは分が悪かった。
作品自体もシュール系で動きが少なく、そのあたりも見劣りしたのではなかろうか。

シュールさを逆手に取ったサイケデリックなOP・EDはやはり好きな人には好きなもので、後の「ポプテピピック」の様を見れば、時代が追いついてなかったとも言えなくはない……かもしれない……気がする。
低予算と蔑まれつつもこれ以上はオーバークオリティーでもあると思うし、作品としては丁度よいのではなかろうか。

アニメやミームは入口に過ぎず、「キルミーベイベー」の本当の沼は原作マンガに他ならない。
日常系ともオムニバスとも言えないシュールな内容は古き良き4コマ漫画らしさがあって、「サザエさん」等の大御所と比べても遜色ない(性質上そんなに差は出ないのだが)。
最低限の設定とワンテーマの軽快さは正に4コマ漫画というフォーマットの良いところだと思っていて、作品や絵に過剰の情報量が含まれていないのが心地良い。
一方で心がざわつく不気味な描写が垣間見えるのがポイントで、「キルミーベイベー」はサラリと読み飛ばさせてくれない。
そして何事もなかったのように次の話が始まるから、この引っ掛かりが読者を惹きつける最たる理由だろう。

ね、ソーニャちゃん。

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