ゴッドオブブラックフィールド

「ゴッドオブブラックフィールド」(以下「GOB」)は、昨今のWebtoon旋風の初めの頃から配信されていて、その広告を見た人も多いだろう。
僕にとって初めて読んだWebtoon作品でもあるのたが、それもピッコマの広告を兎に角あちこちで見かけたからだ。

韓国らしい絵柄だが、内容は大雑把には転生モノ、ジャンルはアクションといったところだ。
転生といいつつも日本国内で現在メジャーなファンタジー風ゲームの世界への転生ではなく、現代間というのがやや新鮮か。
国内の転生ジャンルでは男性向け作品だと現世で全く活躍できずパッとしなかった(オブラート)人が異世界では類稀な才能で大活躍!……というものが多いが、「GOB」ではむしろ逆で、最強の傭兵がイジメられっ子に転生し、不良生徒から果てはヤクザ・マフィアまで無双していく。
ここが国の文化の違いを感じるところで、兵役がある韓国では肉体的・精神的に強いキャラクターがカッコいいとされ、ひ弱なキャラクターに寄り添う素振りがないのである。
また、劇中では教育マウントを取る嫌味なママ友が出てくるシーンがあるのだが(ここもよく広告で見かける)、学歴格差が強い韓国ならではだと思う。
同時期のWebtoon「外見至上主義」も現代転生に近い物語なのだが、こちらでも現代社会での格差に物差しがある。
話がボヤけてきたのでまとめるのだが、日本では現実世界とは別の軸でフィクションの無双を楽しみたい一方、韓国では現実世界の軸でフィクションの無双を楽しむのである。
こうして並べると、「日本の男はダメだ!」みたいねことをいう自称フェミニストのミサンドリストがデカい声で騒ぐのもちょっと分かる気がする。

Webtoon自体には僕はどちらかというと否定的というか、関心が薄いというか、魅力を感じないというか……そもそも業界に可能性を感じないのだが、版面のマンガと異なる特徴と強みは興味深い。
Webtoonは水平方向には版面のマンガのような限界の広さを持たないが、垂直方向の演出は半無限に演出が可能だ。
複数人がズラリと並ぶコマは厳しいが、奥行きを生かした構図は力強く描けるし、全身をなぞるような表現もできるし、モノローグが続くシーンも華やかに演出ができる。
スナックカルチャーになってしまったので将来は期待できないし、そもそもスマホという縦型のデバイスが異例なのでそういう意味でも先は長くない業界だとは思っているが、時代に即したエンタメのかたちとしては見過ごせない。

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