スケバン刑事

「スケバン刑事」と「セーラー服と機関銃」がずっと僕の中でゴッチャになっていた。
どちらも人気作品で実写化されているし、ビジュアルのコンセプトも似ている。
刑事と任侠で正反対な属性のハズだが、メタルが最終的にクラシックのような複雑な音楽理論と様式美に終着したのと同じく、一周回ってたどり着いているのかもしれない。
それに原作は勿論、実写化された映像作品ですら僕より一回り以上も上の世代、親の世代の作品であるから、よほど昭和趣味でないと見分けがつかなくても仕方あるまい。
しかし、今でも懐かしの作品を振り返るような企画のテレビ番組等ではよく挙がるタイトルなワケで、興味を持っていた。

「スケバン刑事」は電子配信書店でありがちな「待てば無料」で読んでいた。
確かに今のマンガとも一昔前のマンガとも感覚が違っていのて読みにくいのだが、三姉妹と決着をつけ、正式にスケバン刑事として活躍し始めるところまでは読んだ。
多分だが、ここ以降はエピソードこそ多けれど全体の動きは非常に鈍化していくと思ったのだ。
「名探偵コナン」の本筋の様な感じだ。
読みにくさから途中で離れる決断をしたのが正直なところである。

この読みにくさというのは、この辺りの頃の作品(特に少女マンガやハーレクインのような女性向け)ではよくあるのだが、テンポが異様に速く、要所要所のシーンしか描かれていないのだ。
何かXデーが劇中で設定された時に、「それから◯日後……」のように、劇中で物語の動きが少し大人しくなる期間は全て飛ぶのだ。
それ自体は時には有効なものだが、多すぎてとても物語が薄く感じてしまった。
とにかく面白いシーンでテンションを落とさないようにテンポを保つための構成だと思うのだが、その緩急も含めて起承転結にカタルシスが生まれると思うので、僕には少々頂けなかった。
スケバンの設定はまだしも、正義に目覚める過程も少し無理があるような気がして、しかし三姉妹の悪行や地獄城の設定も面白いし、ヨーヨーをアイコンとするビジュアルも、そのヨーヨーに実は警察組織の上層にまで権限の効く代紋の設定も面白いと思う。
現代に合わせて再構築したならば面白いのではなかろうか。

昨今、「古い作品をAIで今風に描き直してリバイバル配信する」という動きがマンガ業界にある。
絵柄を今風にするだけでなく、もし中身も少し調整できたとしたならば、新しい世代にも取り込めるだけの面白さはあるのではないかと思う。
実際に映像化を皮切りに様々なオリジナル展開で成功している作品だけに、僕は期待をしたい。

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