Cotton Garments2 〜サファリジャケット混迷編〜
>>>>>>>>>>>>>>>>前回より
“辞書”と言いましても人間が書いている本ですから、筆者が違えば表現も異なりますし、間違いも無論ある訳です。
とりわけ小学館のランダムハウス英和大辞典ではこうなっています。
サファリジャケットの語源は1951年、ブッシュジャケットでは1939年になっております。
まぁ、こういうことですよね。この辺りでお手上げでしょうか?
繊研さんではサファリジャケットの生まれた年の記述はなかったわけですけども、小学館さんでは51年としております。
オックスフォード英英辞典では“Safari Suits” 、ということですが、1935年。まぁ、厳密には“サファリジャケット”ではないのもポイントでしょうか?
本によっては、ヘミングウェイさんがオーダーした1936年をサファリジャケットの語源の年としているモノもあるかもしれませんね。
“ブッシュジャケット” (サファリジャケットと同義語)にいたっては繊研さんで1923年、小学館で1939年を語源としていますが、私がどうこうできるレベルのモノではありませんよね。
とりあえず、ざっくりといって、20〜30年代にこれらの言葉が生まれたという認識でいいでしょうか?
これらの辞書が示している年代以前のサファリジャケットやブッシュジャケットと言う言葉が自分の所有している本の中に見つかればそれはそれで面白いのですが、途方もない話ですね。ちょっと量が多すぎます(汗)。
片手間でやる量じゃなくなってしまいますから、何か面白い情報が見つかれば、そのときにお知らせしたいと思います。
繊研さんも、小学館で編集担当した人も目を通していない文献が私の本棚にあると思いますから、なにか面白い情報が転がっているかもしれませんよね。
とにもかくにも、“サファリジャケットはヘミングウェイが作った!” というのは少しばかし曲解といいますか、違うとは思いますね。断言いたしましょう。
私個人的な理解ではすでにあったモノに彼が欲しいディテールをブランド側が受け、アレンジしたという感じで間違いないと思います。もちろんその際に簡単なデザイン画があったかもしれませんし、“デザインした”といっても間違いではないかもしれませんが、ヘミングウェイが着ているモノを見てみても、それ以前から有ったモノを踏襲しているのは明らかですからね。全く新しい革新的なアイディアがそこにあったとは思えません。
ちなみに、W&G社の服はA&Fのショップで購入できたようです。
とりわけこのサファリジャケットの“起源”は19世紀にまでさかのぼれるようです。
そうですね。サファリと言う位ですから、アフリカが関係しているわけです。
ヨーロッパとアフリカの関係性にはご存じの通り暗い過去があります。
奴隷貿易もそうですけども、第一次世界大戦前までにリベリア、エチオピア以外のアフリカ全土がヨーロッパ列強の植民地でした。侵略戦争ですよね。
そして欧米人はアフリカの風土に合うような洋服をデザイン訳です。
要はそれらの衣服が流れ流れて、誰かに“Bush Jacket”、“Safari Jacket” と命名される訳なんです。いったい一番始めにそれを言ったのは誰だったのだろうか?という話なのですから、途方もないわけです。
これほどまで語られているわけですから、Safari Jacketに関してはA&F社のお話なのかもしれません。
しかしながら、私はBush Jacketに関してはイギリスなのではないかと邪推しております。
WW2期の衣服に“Bush Jacket” と明確にプリントされている訳ですけども、まさか、イギリス人がアメリカで生まれた言葉を特に自分たちのミリタリーガーメントにつけるだろうかという疑問がありますね。
まぁ不思議と40年以前のBush Jacket(ShirtまたはCoat)と明記された英軍のガーメントを私は見たこと無いんですけどね。
とりあえず、私は繊研新聞社がいう1923年以前、イギリスにBush Jacketがあったという証拠をどこかで見つければ、話しは早いのですが、そうはうまくいかないでしょうね。というか、繊研さんはどの誌面で見たのでしょうかね?
8)
A&F社はUSミリタリーガーメントのサプライヤーでもありましたし、オーセンティックなブッシュジャケットを民間に売り出したのが早かったであろう事は明らかな事実ですが、ではそれが完全な”オリジナル”であるかと言われれば、話が変わってくるのはココまで話したとおりです。(たしかに、上の辞書等で語られる所、Safari、Bush Jacketという言葉を当て込んだのはA&F社かもしれませんが、)
>>>>>>>>>>>>>>>>つづく
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