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『マイ・エレメント』22回観て感想

8/15現時点で22回鑑賞してる。
8/4の公開前に前売り券を1枚しか買わなかった先々週の自分を心の底からボコボコにしたい。

【ネタバレなし】(私的)映画の概要

私的にマイ・エレメント(Elemental)は、ズートピア(2016)で描いた「異なる種族たちの共存」と、ソウルフル・ワールド(2020)とかストレンジ・ワールド(2022)で描いた「スピリチュアルなモチーフのファンタジー」と、ひな鳥の冒険(2016)とかアナと雪の女王2(2019)で培った「自然の徹底的リアル」と、インサイド・ヘッド(2015)の「感情のキャラクター化」と、これまで築いたPixarの大きなコアのエッセンスを頭おかしくなるくらい合体・更新したような、Pixar作品の超絶的な結晶の一つだと思う。キャラクター、ワールド、メッセージ、持ってるものが尋常じゃないほどスゴすぎるあまり映画の内容を思い返しただけでちょっと意識飛びかけそうになる。もともとPixarの人間辞めるの????ってくらいの技術力の追求(映像表現)の信じられないくらい神がかったクオリティが大大大好きだったのだけど、今作は四大元素を基盤にした感情・命・人生に対する愛と、物語の中で無限の広がりを持つファンタジーを叶えた、自分のツボに本当に本当に本当に強く激しく猛烈にグッサグッサに刺さって止まらない作品。なんかもう、死ぬほど大好きであるが故に私はこの作品に殺されるのに、死体になった上でなおボコボコにされ続けるような気持ちになる。もうやめてって思うくらいどこまでもオールタイムベストの映画だった。

~以降ネタバレあり~

愛される炎と命

炎、それは感情の存在の表現。嬉しいとき、驚いたとき、何か些細なことでも心が強く動いたとき、人間の胸の中に生じることのようにエンバーの炎が明るく煌めく。許せないときは破壊的衝動に駆られるように熱く燃え上がる。悲しいときは存在がかき消えそうになるように淡く弱弱しく揺れる。マイ・エレメントの何よりも大好きなところは、そんな炎が、心・感情・生命を映像中に実現的に表したようなエンバーが、彼女の炎の輝きを愛してくれる人と出会って、世界から愛される感覚を知って、自分が心から望むことを選んで、与えられた自分のライフに感謝するというところ。それは言うなれば、生きる悦びの直接的な証明と、その力強い命の肯定そのものだと思う。命や感情は燃えることでときに誰かを傷つけてしまうかもしれない。ときに恐れられるものかもしれない。それでも、その炎の輝きを受け止めて反射するキラキラした純粋なウェイドに「綺麗だね」と愛される。心・感情・生命の輝きを持っていることが真実に美しいと肯定される。「エレメントシティは火に優しくないから」とファイアタウンから一歩も出なくなったエンバーが、大好きだったヴィヴィステリアの花も「危険だからダメ」と見ることが許されなかったエンバーが、それでもウェイドに愛されることが彼女にとって一体どれほど嬉しかっただろう。作中でこれでもかと描かれるそういう一つ一つの愛が私の命の肯定にまで繋がっていた。この作品で、私は私自身の心の輝きが愛される事実を胸が痛くなるほど享受していた。自分にどれだけ自信がなくても、過去に負った精神的な傷がどれだけ治らなくても、この作品の理念で私は私を大切にできる。命の炎を持ってるという自覚が私に生きる悦びを与え続ける。マイ・エレメントはそうやって私に絶対的に不滅の、誰に何を言われても覆らない真実の、命への永遠に果てない感謝をもたらす作品だった。

世界の見方が変わる

お気に入りのシーンは?ってもし聞かれても本作は(本作も)冗談抜きで上映時間のうち鑑賞的価値がないシーンなんてコンマ何秒間として存在しないし、マジで好きな場面を一つに選ぶなんて不可能極まりないけど、それでも断腸の思いでめちゃめちゃに頑張ってなんとかして一つ選ぶとするのであれば、エンバーがデートのあと電車の下を歩いてる中で線路から水が流れ落ちるところ

パートでいうのであればエンバーとウェイドのデート

冒頭でバーニーとシンダーがエレメントシティで住まいを探すとき、火であることを理由に他のエレメントから門前払いされてた描写にあるように、火だけ他のエレメントからは受け入れられる存在ではなかったのだと思う。特に印象的なのは前述したヴィヴィステリアが咲くガーデンセントラル駅への入場禁止。幼い頃のエンバーは火も含めどんな環境でも育つヴィヴィステリアが大好きで、そこにはヴィヴィステリアが「火の自分でも受け入れてくれる存在」であったからっていう理由もあるんだろうなって強く思う。そのヴィヴィステリアの禁止以来、土のエレメントのクロッドにファイアタウンから一度も出ないことを指摘されたり、ガスケットボール(英語だとエアボール)の試合観戦でスタジアム行くときもフードを深くかぶって目立たないようにしてたり、エレメンタルの世界で暮らすエンバーは心のどこかで "自分は世界から認められない存在" と思っていたのだと思う。だからこそ、エンバーの存在を認めて、エンバーをエレメントシティに連れ出して、一緒に映画観たり、プリクラ撮ったり、街の展望を見せてあげたり、ウェイドがエンバーとデートするシーンの一秒一秒が痛いほど心に響く。そのときのエンバーはファイアタウンにいるときのハジけたパンキッシュな性格とは違って少し緊張してるように描かれてたり、デートしてるときの心情の表現とかもうしんどくなるほど素敵だし、鉱石の炎色反応とか虹作りとか二人が心を通わせるためのきっかけ・アイディアもあまりにも神過ぎてると思う。その後デートの楽しい余韻に浸ってる電車の下のエンバーの隣に、線路から零れた水が優しく流れ落ちる。エンバーはその水に触れようとする。それは今まで火に優しくないと思っていた水が火にも優しいと思えた瞬間で、エンバーが自身が世界から愛される感覚を得る瞬間だと思う。そのときの世界の見え方が変わる一連で涙が止まらなくなる。エンバーのキャラクターの魅力がぶっちぎりに最高で、私もエンバーのことがたまらなく大好きで、その上ヴィヴィステリアの件のようにエンバーが存在を拒絶されたこと全部込み込みに含めると、エンバーが流れる水を眺めるそのシーンの、"世界から愛される感覚"のことがこの上なくとてもとても大好きだった。

付け加えて言うと、そのデートに達するまでの過程、最初にエンバーとウェイドが心を通わせる気球のシーンの描き方も本当にヤバいと思う。夜景が綺麗なエレメントシティをバックに二人を映すその演出は、世界が二人のことを見守ってるようだった。

気球からの展開の効果もあって、Lauvの音楽が流れるエンバーとウェイドのデートシーンではクライマックスかよってくらいの勢いで泣いてしまう私、映画を16回目見てたとき隣のカップルが泣いてる私のこと見て「ここ泣くとこじゃなくない??(笑)」みたいなこと言ってたのだけど、いやーーー泣きます!!!!泣

"カワイくてカッコイイ"な完璧の炎女子

今作は主人公エンバーの魅力が本当に尋常じゃないほどヤバい、、、笑。冒頭の赤ちゃんエンバーの"炎のくしゃみ"とか、お父さんと一緒に扇風機で「あ~」やって顔びよーんってなるとことか、全部全部胸がはち切れそうなほどカワイイ。。笑。なんて油断してたら途端に立派に成長して、Leah Lewisの少しハスキーでドライな第一声がくるの、それまでのカワイさを引き継ぎつつも多少のギャップとそれらの相乗と畳み掛けるみたいにしてマジで魅力が大爆発する…笑。その後も配達のタイムアタックでわしには勝てんだろ~ってお父さんからなじられたとき、「今まで手加減してたんだよ~?」の調子乗る感じとか、「見てな!(Game on!)」の手振りとか、バイクでかっ飛ばすところとか、最短記録を更新したときに「ガッハッハ!勝ったぜ~~!(Winner winner charcoal(chicken) dinner)」とか…セリフというセリフがことごとくどれも最高に最高、、、笑。(極め付きはイラついたときの「Flame! (Damnの火バージョン?」)。火らしい いかにもハツラツとした元気いっぱいのキャラ、それでいてブチぎれるときはガチでブチぎれる感じ、パイプの違反取られた後ウェイド追いかけてる中でのチリオイルの巨大化とか「これ主人公じゃなくて敵キャラか??」って勘違いするほど怒りの化身みたいになるし、最初から最後まで物理的にも魅力的にも燃えまくってた 笑。
ここで逃げ恥のカワイイ最強説を思い出す。

「カッコイイはカッコ悪いところを見ると幻滅するかもしれない」
「カワイイは何をしてもカワイイ」
逃げ恥のこの理論を借りれば、当たり前の中の当たり前のことを言うけど、カワイイもカッコイイも両方持ってるものこそが何よりも一番無敵だと思う 笑(それはそうだよね)。マイエレメントのエンバーはほんとのほんとにド直球でそれ!!泣。気球飛ばすときとか必殺技かよってくらい超絶的にカッコイイし、しっかり者で我も持っててタフで、カワイイながらも最高にカッコイイ、、、それを120%発揮するLeah Lewisの声のハマりっぷりもちょっとありえないくらいよかった。。。

Leah Lewis以外で今作のエンバー務まることある????って思うくらいLeah Lewisこれ以上なくハマってた気がする、、、といいつつ、もしLeah Lewis以外でエンバー声の候補を私から挙げていいのなら、例えばFreya Mavorとかもぴったりそう...笑。

"カワイイ×カッコイイ"ってほんとにほんとに無敵。。。、

究極的なまでにラブ・ロマンス

火であるエンバーが自分のこと愛してくれる水に触れるということ。そのときエンバーは、相対的にものすごく冷たい温度を感じたはず。その強烈な温度が相手に触れることの実感を極限にまで高める表現に思えた。自分のことを愛してくれる存在をとてもとてもリアルに実感する表現に思えた。マイ・エレメントは言わずもがなラブロマンスの点でも信じられないほど名作だと思う。これまでも禁断の恋愛的なもの、例えば"敵と恋をする"みたいな作品(それこそFreya Mavor出演のイギリス女性と元ナチス兵の男性の恋愛『キーパー(2018)』)とかを見たことあるけど、物理的にかつ身体の性質的に触れたら死ぬ(可能性がある)という恋愛はなんて発想なんだろうと思った。ウェイドの「証明しよう」というセリフが、自分の愛を受け取ってほしいという愛の表現が、火と水の条件の中で最大に引き立つ。それまでのデートのシーンで既に涙が枯れるレベルで泣いてしまっているのに、エンバーとウェイドの過激的な温度差の感覚の触れ合いでさらに眼球が割れそうになる。
終盤のウェイドの蒸発ではあまりにも泣きすぎて完全に視界が失われる。本当に目の前が何一つ見えなくなる。"I really do love it when the light does that"、ウェイドがいなくなってしまったそのとき、それまでのデート、ヴィヴィステリアの花を見せてくれたこと、ウェイドの優しさをこれでもかと思い出して、泣いて泣いて泣きまくって、もう呼吸ができなくなる。本当に耐えられなくなる。そしてその後煙突の遠く遠くから声が聞こえたとき、エンバーが泣きゲームでウェイドを泣かせるのももはや素晴らしさが狂ってると思う。ここまでくると本気でブチぎれそうになる。理性が徹底的に破壊されるほど感動するラスト。公開日8/4から11日経った現時点で22回観てるけど、圧倒的に足りない。足りなさすぎる。キャラクター、コンセプト、それまでに幾つもの素晴らしさをこれほどまでに確立してるのにこの感動。マイ・エレメント、本当に愛してる。

フレーム単位で全ての映像が芸術

マイ・エレメントを何回も観るのは「またエレメントシティに行きたい」と思わせられるっていう理由も凄くある。本作は勿論言わずもがな映像表現も素晴らしいどころじゃない。。。冒頭で出てくるでっっっかいエレメントシティの外観、栄えた都市の実際の内観、一定の形状を維持しない水・風・火のエレメントたちの状態(土のエレメントは特に植物の髪型!)……実験器具から着想を得たその建物の街は水を基調とした恵みが溢れる空間で、乗り物や食べ物、その世界を生きる人達の文化を作り手が一から創造した新規性と芸術要素がいっぱい詰まってると思う。例えば風のエレメント用に座席が天井についてる電車、実際電車の外観で風のエレメントの座席スペース用に膨らみがある?とか

もしこの電車上部の膨らみのデザインが天井の風のエレメント用の座席だとしたらさ、、、もーーほんとにすごすぎ(TT)笑。こういう、エレメントの世界だからこその街の形というのが22回鑑賞してもまだまだ気づかないところであるんだろうなって思う。
建物であれば、なんといってもサイクロンスタジアム…!笑

ガスケットボール(エアボール)は空中のスポーツだからスタジアムも縦型形状…にしてもこのサイクロンまんまなデザイン最高にカッコよくて大好き。。。笑。これも現実ではないエレメントの世界だからこその設計の感じ。こういう風な"エレメンタル"なアイディアが今作ではほんとにモリモリなんだと思った。しかもその上とにかく世界が広い…!キャラクターやストーリーとは別に何回鑑賞しても楽しさが尽きないし、それが故にキャラクターが生きるその世界と物語が本当に実在しているかのような(実在を信じたくなるような)作品になってるのだと思う。

コメディとしても容赦ない

冒頭で風のエレメントの赤ちゃんが風船扱いなのめちゃめちゃ笑った 笑。そうだよね、空気の身体で常に空中漂うからベビーカーとかの概念がないもんね。にしても赤ちゃんを紐で縛るだけで「遠くいかなきゃいいだろ」的なあの超簡単な扱いの感じほんとに大好き…笑。あとエレメントシティの入口ゲートで受付員の土のエレメントが鼻ハンコになってるやつ、あれ現実世界にいたらかなり面白いと思う 笑笑。あの鼻のハンコ押力が結構強そうだから顔面潰れないか少し心配になる、、。水のエレメントだとウェイド一家がもーーたまらなく楽しい!ウェイドのお母さんのキャラもエンバー級に魅力MAX。。。

姪っ子が笑っただけでお母さんもウェイドも号泣なの、いちいちこんな全力で泣くこの家族めちゃめちゃダルくない???って思ってた 笑。あぁ思い返すだけで楽しい。。。

最後に

マイ・エレメント、記事の文章で感想書くのちょっと無理があるなって思った。身振り手振りも込みの動画のフォーマットとかじゃないと全然感想を発信できなくてしんどいところがある。結構本気でYoutuberになりたいと思ってしまった。
種族の多様性についてやラストのバクソーのところとか、本当にまだまだ書き切れてないから、後日追記するかも。

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