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MOTHER2の魅力を考える


MOTHER2の魅力を考える

自分は先日Nintendo Switch OnlineでMOTHER2をプレイし、クリアまで漕ぎ着けた。

MOTHER2は子供の頃にプレイしていたがデータが途中で消えてしまった事でついぞ今までクリアした事が無かっただけに非常に感慨深い。

今回は自分にとってトップクラスに好きなRPGであるMOTHER2の魅力について自分なりに考察し語ることにする。

MOTHERシリーズの魅力を支える要素としてまず挙げられるのはコピーライター糸井重里氏によるテキストだろう。

ゲーム内に登場する様々なキャラクターの個性をユニークに表現し、随所に散りばめられた小ネタがプレイヤーを飽きさせない。町にいる人々に片っ端から声をかけたプレイヤーは多いはずだ。

戦闘周りについても工夫が見て取れる。なんでもマリオやゼルダシリーズの生みの親である宮本茂氏に戦闘の存在を疑問視されていたらしく、どうすれば戦闘が面白くなるかについては苦心していたようだ。戦闘そのものはドラゴンクエスト(以後ドラクエ)でお馴染みのコマンド選択式でありながら敵との遭遇に関しては歩く度に一定確率でその場で戦闘が発生するランダムエンカウント方式では無く、画面上に発生した敵とマップ上で接触して初めて戦闘が発生するシンボルエンカウント方式が採用されている。これは当時のRPGとしては珍しいことなのではないだろうか。その上で接触時に敵の背後を取れば自分が、背後を取られれば敵が先制攻撃するためマップ上の駆け引きが存在する。更に言えばマジックバタフライの存在もある。マップ上で触れると本作のMP(マジックポイント)に相当するPP(サイパワー)を回復してくれる為、状況次第では必死に追いかける必要に迫られる。こうしたシンボルエンカウントに基づく追いかけっこも一つのプレイヤーを飽きさせない工夫と言えるだろう。

戦闘中における工夫としてはHP(ヒットポイント)におけるドラムロールシステムがその代表だろう。先にも述べた通り戦闘そのものは基本的にドラクエを踏襲したスタンダードなものだが最も大きな違いとして敵からダメージを受けた際のHPの減り方が挙げられる。ドラクエを始めとした他のゲームにおいて、ダメージは即座に反映されHP以上のダメージを受ければそれは即座に死を意味する。しかしMOTHER2においてはHPにダメージが反映されきるまでに若干の猶予が存在するのだ。その為、数字が0になるまでのタイムラグ中に回復を行えば戦闘不能を免れるのである。このシステムにより戦闘中に致命打を受けた仲間を救うべく素早く回復コマンドを入力する必要が出てくる。プレイ経験がある者なら回復技であるライフアップを選択した後にAボタンを連打した記憶があるはずだ。あるいは欲張って他の技も使い、技の演出の間に仲間を戦闘不能にしたかもしれない。こうした駆け引きもMOTHER2の特殊な仕様と言えるだろう。

MOTHER2の魅力を語る以上は音楽も外せない。専門知識のない自分には詳細に語る術が無いが冒険の夜明けとともに始まるオネットのBGMは日常と冒険のワクワク感を演出してくれるし、ボス戦のBGMは怖さを感じさせつつもどこかカッコいい。せっかく自分の場所を巡ってメロディーを集めたおとのいしが最終的に消えてしまうのを嘆いたプレイヤーは自分だけでは無いだろう。
効果音も素晴らしい。トットットと階段を移動する音、ドアを開けるカチャッの音、戦闘中にSMAAAASH!!と共に流れる小気味いいクリティカルヒット音、ゲップーのゲップ音、みんな大切な思い出だ。

昔の自分にとっては怖いものも今となっては良い思い出だ。タイトル画面で何故かここだけリアルタッチでUFOが町を襲っている絵が出てくるのが怖かったり、トンネル内の幽霊に軽いトラウマを持ったりした。

舞台がアメリカをモチーフとした現代なのもプレイヤーの心を刺激する。よくある剣と魔法の世界であればそれは良くも悪くも我々にとって非日常の世界だ。しかし現代を舞台にバットやフライパンを武器として戦いハンバーガーを食べて回復、となれば日常にMOTHERの世界を見出す事ができる。ゲームと現実の境界を曖昧にして没入させてくれるのだ。

昔このゲームをプレイした自分は子供だったのでMOTHERとはどういう意味なのか分からずにプレイしていた。やがてそれが母親という意味である事を知った時、疑問を持った。MOTHER2において主人公であるネスの母親は家で回復をしてくれる脇役に過ぎない存在からだ。
その意味はネスの幼馴染でお隣さんのポーキーが重要となってくる。ポーキーはネスの向かう先々で悪事を働くお世辞にも出来た人間とは言えない存在で、挙げ句の果てにはラスボスのギーグと共にネス達と戦うことになる。ポーキーの家庭は両親がしつけに厳しかったり母親のラードナが不倫したりと円満なものとは言えず、これはきっと母親から愛情を受けて育ったネスとそれを受けられなかったポーキーの対比の物語なのだ。そうしたタイトルの意味に気付くのは更に時が経ってからだった。

長く時が経っていても面白いゲームなのでやったことのない方は是非一度プレイしてみてもらいたい。


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