核兵器からのパラダイムシフト

イランの濃縮核問題。一度開発してしまったからには止められない核兵器。他国がたくさん作るなら、自分らも作る。その結果世界では13,000発以上の核兵器が存在していると言う。

こんなに撃ったら人類はいなくなってしまうのではないかと思うが、小型化し、さらに着弾点を正確に計算できる近代核兵器は全弾撃ち尽くしても人類はかろうじて滅亡は免れるらしい。

しかし普通に考えて放射能で汚染された世界に心地よく住むことはできないだろうし、核を放った大国はその報復攻撃を受け、国としては完全に機能しなくなる。すなわち世界の秩序は崩壊し、外にも出られれず、安全な農作物を食するのは相当限られた一部の富を持つもののみで、大半の人間たちはガン覚悟で汚染された農作物を食するしかない。それを安全に食べられるように改良する技術を開発する力はもう人類には残っていないであろう。

核保有国はこのほぼ使えない兵器に対して多額の維持費用を支払っている。米国の議会予備局の試算では核戦力にかかる総コストは2024年までに3480億ドルかかるとのことである。

撃つと自分らの国が滅亡し、撃たなくても多額の費用が毎年かかる。このような兵器を無くしたいと思うのは普通のことだ。置いておくだけで維持費がかかるし、乗るとガソリン代がかかる車を例にするとわかりやすいかもしれない。

しかし、核兵器が世界の治安を保つための道具となっているのも事実だ。撃つと撃たれるから撃たないという微妙なバランスが、戦争が何十年に一度という単位で起きていた世界に治安をもたらした。

では、今後も世界は核兵器に頼り続けなければならないのか?著者は考えるが、近年むしろ問題になっているのは物理的な攻撃よりもインターネットを介した侵略ではないだろうか。

毎月新種のコンピューターウイルスは2万件確認されるらしい。これらから自分の情報を守り抜くのは至難の技である。当然、国の最重要機関であれば一般的に検知されるもの以上に高度なウイルスが送り込まれているだろうから、ネットワーク管理者の日々の戦いはさぞかし熾烈なものであろう。言うまでもなく、今の世界は全てがネットワークでつながっている。万が一国の最重要機関や銀行がウイルスに感染したら、国の全システムがハックされ、銀行はハッカーの財布となる。これは核兵器と同等に恐ろしいものではないだろうか。

最近はロシアなどがスパイウエアーを仕込んでいるという話しもチラホラネット上で散見される。プログラミングの天才に使いきれないほど高額な給与を与えウイルスを開発してもらった方がコスパが良いのは目に見えている。おそらく水面下ではそのような戦略シフトはすでに起こっているであろう。

結局人を滅亡させるのは人。その図式は今後も変わらないのかもしれない。

世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。